【趣味の中古車ガイド】シトロエンCXが欲しい!!【Purchase Project 17】

中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、強い個性を持った1970~80年代のシトロエンの旗艦、CXの詳細に迫ります。

【趣味の中古車ガイド】シトロエンCXが欲しい!!【Purchase Project 17】
DSに比べて一まわり小さいものの、車高が低く伸びやかなCXのデザインは、GS、SMに続き、ロベール・オプロンの指揮の元、シトロエン社内でまとめられた。取材車両はシリーズ2で、シリーズ1とはバンパー形状などが異なる。

【SUMMARY】

 シトロエンCXは1974年にデビュー。DSに代わる旗艦として新開発されたが、騒音や振動低減のため、シャシーはサイドメンバーとフロントサブフレーム&リアクロスメンバーからなるペリメーターフレームを採用。その上に4ドア(ハッチバックではない)セダンボディが載る。

 サスペンションは前ダブルウイッシュボーン、後トレーリングアームで、独自のハイドロニューマチック・システムがこれを支えた。またエンジンは当初DS由来の直4OHV2リッターのみで、翌年2.2リッターのガソリンとディーゼル・エンジン仕様が追加されている。

 1976年にホイールベースが250mm長いワゴンのブレーク/ファミリアールと、セダンのプレステージュを追加。またガソリン2.4リッター仕様も登場し、翌年これにインジェクションを搭載した仕様も追加されている。

 1978年には2.5リッター・ディーゼル仕様が、更に1979年にはPRV製ガソリン直4SOHC2リッター仕様も登場。

 1980年には、それまでの3速Cマチックに代わりZF製3速ATが設定されると共に、フェンダーやCピラーの形状が僅かに変更されている。

 1983年に2.5リッター・ディーゼル・ターボ仕様、2.5リッター・ガソリン+インジェクション仕様が誕生。翌年には2.5リッター・ガソリン・ターボ仕様も加わった。

 1985年にシリーズ2へとマイナーチェンジ。内外装が変更され、直4SOHCエンジンは2.2リッターになった。

 1989年にXMと交代したが、ワゴン(ブレーク)系は1991年まで生産された。

【EXTERIOR & ENGINE】 他の何にも似ていない近未来的デザイン

ヘッドライトは外側がロー&ハイビームで内側がフォグ。下にスモールとウインカー。樹脂製バンパーの採用に伴い、スモール&ウインカーの形状が変更されている。
テールライトは上からスモール&ブレーキ、バック、ウインカー、バックフォグ&リフレクター。CITROËNのエンブレムは、シリーズ2からダブルシェブロンが消えた。
純正アルミホイールに、195 /70 R14 サイズのタイヤを履く。サスペンションに加え、パワーステアリング、ブレーキもハイドロニューマチックが制御。
エンジンは横置きで、フロントオーバーハングに前傾して搭載される。シリーズ2の日本仕様は2.5リッター・インジェクションで135ps。

【INTERIOR & LUGGAGE】 ソファーのようなシートと独創的なインパネ

インパネは全体に緩やかな曲線デザインとなった。ウインカー、ライト、ワイパーなどのスイッチは依然サテライト式。一本スポークステアリングも健在。
ボビンに代わりシリーズ2 はイエーガー製のアナログメーターを備える。個性は薄れたが、見やすさは格段に向上した。
シリーズ2 で採用され、最も不評を買ったのは、シガーライター横の車高調整用電気スイッチ。壊れやすい上、車高が上げられなくなる。
座面、背面ともサイズはそれほど大きくないが、座ると沈み込んで絶妙に身体を支えてくれるシート。長距離でも身体が痛くならない。
リアシートも抜群の座り心地。着座位置が低いため、前方を見渡せる感じではないが、足元は広く、リラックスして座ることができる。
ステアリングコラム右にハザードやフォグのスイッチとAT のポジション灯を設置。シリーズ2になって樹脂パーツが大幅に増加した。
トランクスペースはリアのクーラーユニットと縦置きスペアタイヤなどの影響で、思ったほど大きくはない。

【IMPRESSION】 浮いているような乗り心地と不思議なハンドリング

 今回の取材車両は1986 年式のCX25 GTi シリーズ2。乗り込むと、ソファーのように包み込まれるシートにまず感激する。サイズは決して大きくないが、身体に一切負荷がかからない印象なのだ。走り出そうとブレーキを踏んだところで、かつての愛車エグザンティアが突然思い出された。そう、C5 以前のハイドロ・シトロエン独特の、踏力でコントロールする、スイッチのようなブレーキペダルだったからだ。思わずニンマリしたところで、一般道路に出た。

 ステアリングは、常に直進に戻ろうとするセルフセンタリング式で、交差点を曲がるたび若干違和感を感じるものの、これはこれで面白い。ハンドリングそのものは結構クイックなので、急激にロールしないようにコントロールするのも意外に楽しい。

 だがそれ以上に嬉しいのは、やはり乗り心地が最高に気持ち良いことで、普通に運転しているだけでウキウキしてくる。自分は普段C5 を足にしているが、それより遥かに「地面から浮いている」感覚が強いのだ。誤解されないように言っておくが、タイヤからのインフォメーションはあるし、段差などは明確に伝えてくる。それなのに、これほど浮遊感があって、未来的とすら感じられるこの乗り心地こそが、CX最大の美点と言えるだろう。

 エンジンは実直そのもの、ATは3速で古臭いが、それらはどうでもいいと思えるほど、CXは不思議な魅力に満ちていた。

【TROUBLE SHOOTING】

#01 メンテは経験豊富なショップに任せたい

 シトロエンCX は、例えシリーズ2 であっても、既にクラシックカーの範疇に入るクルマであり、ノートラブルで日常的に使えるとは考えない方がいい。そもそも設計が古く整備性が悪い上、独特のコツが必要なので、旧いハイドロ・シトロエンの経験が豊富なショップにメンテナンスを任せることが重要だ。

 購入する際は、突発的な出費に備え、ある程度予算を残しておくことをお勧めする。

 #02  シリーズ2は内装の樹脂パーツに注意

  今回取材したシリーズ2 の注意すべき点としては、まず内装の樹脂系パーツが変形しやすいとのこと。新品部品の入手は難しいが、小さな物なら3 D プリンターで再生できる場合もあるとのことだ。

 ハイドロニューマチックはサスペンション、パワーステアリング、ブレーキに使われるが、ジョイント部などからLHM が漏れることがある。特にステアリングラック付近は可能性が高いとのこと。

【CAR'S DATA:取材車両詳細】

1986年式 シトロエン CX25 GTi Series2  

全長×全幅×全高:4650×1770×1360㎜/ホイールベース:2845㎜/車両重量:1370 kg/エンジン:直4 OHV+Lジェトロニック/総排気量:2499 cc/トランスミッション:3速AT/最高出力:135 ps/5000 rpm/最大トルク:20 .6 kg-m/4000 rpm/サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/トレーリングアーム/ブレーキ(F&R):ディスク/タイヤ(F&R):195 /70 R14

[VARIATION] 前期型プレステージュ

ここでご紹介しているのは1986年式シリーズ2 GTiだが、同じエンジン&ミッションを搭載する、1985年式シリーズ1のプレステージュをご覧いただこう。ホイールベースが通常モデルより250mm長く、ルーフの高い豪華仕様で、バンパーはスチール製、メーターはボビン式となっている。

【CHRONOLOGY】

シトロエンCX 国内販売の変遷(  線は日本市場での変遷)

1974年8月:パリサロンでCXがデビュー。当初は2リッター直4OHV+4速MTのセダンのみ。

*CX(2000) 2リッター直4OHV(102ps)+4速MT

1975年1月:112psの2.2リッター直4OHVエンジンと4速MTのCX2200を追加発売。

* CX2200(スーパー) 2 .2リッター直4OHV(112 ps)+4 速MT

1975年9月:高級仕様のCX2200パラスと、半自動3速ミッションのCマチック仕様を追加発売。

* CX2200パラス 2.2リッター直4OHV(112 ps)+4 速MT(3 速Cマチック)

1975年秋:西武自版により日本市場で発売。日本仕様は2 .2リッター(112 ps)+4速MTのCX2200(スーパー)

1975年12月:2.2リッター直4OHVディーゼル・エンジン(66ps)仕様を追加設定。

* CX2200ディーゼル 2.2リッター直4OHV DE(66ps)+4速MT

1976年1月:ホイールベースが250㎜長いワゴンボディのブレークと、3列シートのファミリアールを追加発売。

* CX2000 /2200ブレーク 2リッター直4 OHV(102 ps)&2 .2リッター直4OHV DE(66ps)4速MT

* CX2000/2200ファミリアール 2リッター直4OHV(102ps)&2.2L直4OHV DE(66ps) 4速MT

1976年2月:ブレークと同じロングホイールベースのセダン、プレステージュを追加発売。エンジンは115psの直4OHV2 .4リッターを搭載。

* CXプレステージュ 2.4リッター直4OHV(115ps)+4速MT(3速Cマチック)

1976年春: パワーステアリングを備えた豪華版CX2200パラス(4速MT)が日本仕様として発売される。その後本革シート仕様も選択可能に

1976年7月:それまでの2200に代わり、プレステージュで採用された2.4リッターエンジンを搭載するCX2400(スーパー)が新たに発売される。

* CX 2400(スーパー) 2.4リッター直4OHV(115 ps)+4 速MT(3速Cマチック)

* CX2400パラス 2.4リッター直4OHV(115 ps)+4 速MT(3速Cマチック)

* CX2400ブレーク/ファミリアール 2.4リッター直4OHV(115PS)+4速MT(3速Cマチック)

1976年12月:日本市場で2400ccエンジン搭載車が発売される。日本仕様は100psの昭和50/51年排気ガス対策車で、豪華仕様のCX2400パラスの4速MT。本革シートも選択可能

1977年5月:2.4リッター直4OHVにインジェクション(ボッシュLジェトロニック)を装備し128psとしたエンジンと5速MTを搭載するスポーティモデルの2400GTiを追加発売。2.4リッター・インジェクション・エンジンは、その後プレステージュに標準となり、5速MTは1978年MYからCX2400でオプションに設定された。

* CX2400GTi 2.4リッター直4OHV+インジェクション(128ps)+5速MT

1977年秋:日本仕様のCX2400パラスに、3 速Cマチック仕様が新たに設定される。その後日本仕様はCマチックに統一される

1978年2月:排気量を2.5リッターに拡大し、75psとしたディーゼル・エンジンを2.2リッターに代わり採用。セダンとブレーク/ファミリアールに搭載された。また夏から5速MTも設定された。

* CX 2500ディーゼル 2 .5リッター直4 OHV DE(75 ps)+4速MT(5速MT)

* CX 2500 ディーゼル パラス 2 .5リッター直4 OHV DE(75 ps)+4速MT(5速MT)

* CX 2500ディーゼル ブレーク 2.5リッター直4OHV DE(75ps)+4速MT(5速MT)

* CX 2500ディーゼル ファミリアール 2.5リッター直4OHV DE(75ps)+4速MT(5速MT)

 1979年7月:PRV 製の新型2リッター直4 SOHCエンジン(106 ps)が、それまでの2リッターエンジンに代えてセダンに搭載される。装備の違いで、アテナとレフレクスの2 種を設定。その後ワゴン、ブレークにも採用される。

* CX レフレクス 2リッター直4 SOHCエンジン(106 ps)+4速MT

* C X アテナ 2リッター直4 SOHCエンジン(106 ps)+5 速MT(3 速Cマチック)

1979年10月:プレステージュ用ロングボディに、2.5リッター・ディーゼル・エンジンを搭載した、リムジンが発売される。

* CX 2500 ディーゼル・リムジン2 .5リッター直4 OHV DE(75 ps)+5速MT

1980年6月:日本市場で、2 . 5リッター・ディーゼル・エンジン+5 速MT のCX2500 D(75 ps)が発売される

1980年秋:1981年MYとして以下の変更が行われた。CX2400のOHVエンジンがインジェクション装備で120psに向上。CX2400パラスとCX2500ディーゼルは5速MTが標準化。CX2400GTiにリアスポイラー、幅広Cピラーなどが標準装備された。またCX2400パラスとプレステージュに、ZF製3速フルオートマチックが設定された(その後各グレードが採用)。

1982年春:2400ブレーク/ファミリアールがインジェクション・エンジンとなり、ZF製3速ATが選択可能になる。また全モデルのフロントフェンダーがワイドになり、セダン全車のCピラーがワイドになった。

1982年秋:装備を見直し、レフレクスがCX20、アテナがCX20 TREの名称となった。また他のグレード名がCX25 D など、排気量を二桁で表すものに変更されていく。

1983年4月:2500ディーゼルにターボチャージャーを装備したエンジンを搭載する、25RDターボを追加(95ps)。その後ブレーク/ファミリアールにも搭載。

* CX 25RDターボ 2.5リッター・ディーゼル直4 OHV+ターボ(95 ps)+5速MT

1983年春:日本仕様のエンジンが2.4リッターのままながら125psとなり、3速ATと組み合わされることに。セダンはCX2400パラス

1983年春:日本市場で2 . 5リッター・ディーゼル(75 ps/5 速MT)エンジン搭載のファミリアールを発売。CX2500ディーゼル・ファミリアール

1983年春:ホイールベースの長いCXプレステージュが日本で発売される。2.4リッター・インジェクション125psで3速AT

1983年7月:2 .4りたーOHV+インジェクション・エンジンが、排気量を2 .5リッターとして138 Ppsに出力を向上。車名が25 IE、25 パラスIE に。その後ブレーク/ファミリアールにも搭載。

1984年7月:日本仕様のファミリアールに、2 .5リッター・ガソリン+インジェクション(135 ps)+3 速AT 仕様を追加。CX 25IEファミリアール

1984年9月:ガソリン2 .5リッターOHVにターボを装着し、168 psとしたエンジンを搭載する25 GTIターボを追加設定。

* CX 25 GTIターボ 直4 OHV2 .5リッター+ターボ(168 ps)+5 速MT

1985年1月:日本仕様のパラスとプレステージュに、2.5リッター・ガソリン+インジェクション(135 ps)+3 速AT 仕様を追加。CX25 パラスIE、CX 25プレステージュIE

1985年3月:全車にABSがオプション設定される。

1985年7月:全車ビッグマイナーチェンジを実施。ウレタンバンパーを採用し、前後デザインを変更。インテリアも大きく変更され、シリーズ2と呼ばれることになる。グレード的に新規設定されたのは、25プレステージュ・ターボと22 TRS の2 種。SOHC 直4エンジンに2 .2リッター版(115 ps)が追加された。

* CX22 TRS 直4 SOHC2 .2リッター(115 ps)+5速MT

* CX25 RD 2 .5リッター・ディーゼル直4 OHV(75 ps)+5速MT

* CX25RDターボ 2.5リッター・ディーゼル直4OHV+ターボ(95ps)+5速MT

* CX25IEパラス 直4 OHV 2.5リッター・インジェクション(138ps)+5 速MT/3 速AT

* CX25 GTi 直4 OHV 2 .5リッター・インジェクション(138ps)+5速MT/3速AT

* CX25 GTiターボ 直4 OHV2 .5リッター+ターボ(168ps)+5速MT

* CX25プレステージュ・ターボ 直4 OHV2 .5リッター+ターボ(168ps)+5 速MTなど

1985年秋:日本仕様のセダンに、ややスポーティなGTi(2.5リッター/135ps+3速AT)を追加。CX 25 GTi

1986年3月:日本市場でマイチェンしたシリーズ2 の販売を開始。エンジンは全て2 .5リッター直4 OHV+インジェクション(135ps)で3AT。グレードはCX25 GTi、CX25プレステージュ、CX25ファミリアールの3種

1986年7月:ガソリン・ターボ・エンジンに空冷式インタークーラーを設定。

* CX25 GTIターボ2 直4 OHV2 .5リッター+ターボ(168ps)+5 速MT

* CXプレステージュ・ターボ2  直4OHV2.5リッター+ターボ(168ps)+5速MT

1987年4月:ディーゼル・ターボ・エンジンにも空冷式インタークーラーを設定。120psに。

* CX25RDターボ2  2.5リッター直4OHV+ターボ(120ps)+5速MT

1989年5月:シトロエンXMがデビュー。プレステージュ/セダンが生産終了。ブレーク/ファミリアールは1991年まで、CXエヴァジオンの名でユーリエ(カロジエ)で生産を継続。

【TOPICS 】 DSに続き国際ラリーでも活躍

 かつてDS がそうであったように、実はCXも国際ラリーで活躍している。WRCこそ、1977年アクロポリス・ラリーの6 位が最上位だが、1976 年モロッコ・ラリーで4 位入賞、ツール・ド・セネガルでは1977 年に1~5 位独占、1978 年も1〜3 位と6 位になるなど大活躍。1977 年にはロンドン-シドニー・マラソンで3、4、7、10 位に入賞し、コンストラクターズカップを獲得した。更に1981 年にはパリ- ダカール・ラリーにも出場している。

Text:中島秀之  Photo:奥村純一
Special Thanks:MODERN-SUPPLY GARAGE  https://garage.modern-supply.com/
TIPO 2018年12月号より転載

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