【趣味の中古車ガイド】ルノー・シュペール5が欲しい!!【Purchase Project 13】

中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、ヤングタイマー世代の傑作小型車、ルノー・シュペール5の詳細に迫ります。

【趣味の中古車ガイド】ルノー・シュペール5が欲しい!!【Purchase Project 13】
ガンディーニが初代のイメージを活かして作ったデザインは、シンプルながら個性的。各ウインドーの上下幅が大きく、現代のクルマより車内がよく見える。

【SUMMARY】

 2代目ルノー5は1984年秋に発表された。初代は縦置きエンジンのFFだったが、既に9や11で確立されていた横置きFF方式を採用。サスペンションも前ストラット、後トレーリングアームと、この時代のFF車の一般的なものに変更された。

 ボディデザインは巨匠マルチェロ・ガンディーニが担当。初代のイメージを活かしつつ、フラッシュサーフェス化を進めた美しいものとなった。

 シュペール5と通称される2代目は、1987年にJAXにより日本に導入される。直4 OHV 1108㏄エンジンのGL、同1397㏄で60psのGTL、同72PSのTS、同68psで3ATのAT(唯一5ドアも用意)、1397㏄+ターボで115psのGTターボが用意されていた。

 1988年からマイナーチェンジされたモデルを発売。グリルのルノーマークが右側に移り、前後バンパー形状などを変更。日本にはGL、GTL、AT(3&5ドア)、GTターボ(120psにアップ)の他、直4SOHC1721ccエンジン(90ps)のGTXと、本革シートのバカラが導入された。また後にGTLがGTSになり、多目的車のエクスプレスも投入されている。

 1990年に、OHV1398cc+燃料噴射エンジン(58ps)のファイブを導入。また1721㏄エンジンも燃料噴射化され(出力は73psにダウン)、GTX、バカラ(ATに変更)、AT(3&5ドア)に搭載された。

 その後ファイブとエクスプレスに集約され、1992年まで販売された。

[EXTERIOR & ENGINE] 巨匠ガンディーニの手によるデザインが秀逸

ヘッドライトは角型2灯の専用品で、レンズカットが美しい。その下にウインカー&スモールを配置する。
テールライトは上からスモール&ブレーキ、ウインカー、ディフレクター、バックフォグで、右側はバックとなる。
飾り気のない純正スチールホイールに155/65R13(本来は155/70R13)のタイヤを装着していた。
初代と異なりエンジンは横置きに搭載される。現車の1.4リッター直4OHV+シングルキャブは60psを発揮する。

【INTERIOR & LUGGAGE】明るく開放的な車内にふんわり快適なシート

全体に角張った形状の中に一部曲線のあるデザインのインパネ。エクステリアとの整合性が感じられる。インパネ左下にあるのはチョークレバーで、主に厳冬期の始動時に使う。オーディオは新車時とは異なるものを装着。
GTL にはタコメーターが備わらず、右側は燃料計と警告灯になる。各種アイコン化された警告灯が並ぶのが80 年代的。
センターコンソールは上から空調コントロールと時計、ハザードと灰皿、AC&循環切替スイッチ、オーディオと並ぶ。

前席は座面、バックレストとも小さ目だが、フワリとした感触で座り心地がいい。サイドサポートもまずまずで、疲労は少なそうだ。
後席は狭いながら、大人2 人なら十分座ることが可能。ベルトは左右に3 点式、中央に2点式を備えるが、ヘッドレストは備わらない。

【IMPRESSION】乗り心地が良く走りは軽快で快適

 今回お借りしたのは、マイナーチェンジ車が日本で発売された1989年式のGTL。エンジンは1.4リッター60 psで、5速MT、ノンパワステという仕様。グレーがかったグリーンのようなボディカラーが、いかにも80年代風で素敵だ。

 薄く軽いドアを開けて乗り込むと、シートがふわりと沈み込む。サイズは小さいのだが、全体に柔らかくて座り心地がいい上、サイドサポートがあるので、長距離でも楽に運転できそうだ。

 またサイドウインドーの下端がかなり低く、感覚的には胸から上がガラスの横にある感じ。現代のクルマではあり得ないこの感覚が、80年代らしいところ。

 走り出そうとして、いきなりエンストした。クラッチのミートポイントが奥の方で、しかも凄く狭いためだが、「そうそう、この時代のルノーはこんなだったなぁ」と思い出してきた。

 エンジンは低速からトルク感があり、各ギアの繋がりも良く軽快なのだが、回転計がないためどれくらいの回転数なのかよくわからない。もっともあまり高回転は回りそうもなかったが。

 一方ノンパワステのステアリングは、僅かでも走り出しさえすれば軽く、扱いやすい。ただし据え切りや車庫入れでは、さすがに重いと感じてしまった。ただ5 の名誉のため言っておけば、この時代の大衆車でパワステが付いているのは珍しかった。

 撮影場所からの帰路、川の土手沿いの道を窓を開けて走っていたら、突然30 年程前のことが脳裏に浮かんできた。一瞬でタイムスリップできる! これこそこのクルマ最大の魅力だろう。

【TROUBLE SHOOTING】

#01  旧いクルマゆえトラブルは覚悟したい

 最終期のモデルでも既に生産から四半世紀を超えているクルマだけに、トラブルは覚悟しておいた方が良い。各部の劣化は確実に進んでいるので、消耗品は予防整備的に早めに交換するのが得策。また運転時には常にメーター表示に注意しつつ、音や匂い、振動に変化がないかをチェックしておきたい。なお部品は、入手しにくいものが増えているが、基本的なものはまだ入手可能とのことだ。

#02  OHVのキャブ車は点火系に特に注意を

  OHV1.1リッターと1.4リッターのC型ユニットは、特に前期型のキャブレター仕様の場合、点火系がウィークポイントだという。ディストリビューターが湿気に弱く、劣化も加わって、失火することが多いそうだ。ローターを交換すれば回復する場合がほとんどだそう。また燃料ポンプが作動しなくなったり、クランク角センサーの不良によって始動ができなくなるといったトラブルも多いとのことだった。

#03  ATのガバナーコンピュータが壊れやすい

  新車時に販売された数では3速AT車の方が多いと思われるが、現存数では5速MT車の方が多いようだ。これは、この時代のATミッションが耐久性に乏しいことの証でもある。5のATはガバナーコンピューターが壊れやすいそうで、その場合シフトしなくなってしまう。エンジンをかけ直すと直ることもあるが、ダメなら3 速ホールドで走れるモードがあり、それを使うのも一手だ。

#04  オーバーヒートとエアコンも要チェック

  GTターボと1.7リッター・エンジン車は、熱量が大きいこともあり、オーバーヒートの危険性が高いとのこと。ラジエターが劣化していればなおさらなので、水温計に注意したい。更に1.7リッターSOHCエンジンはタイミングベルトなので、定期的な交換が必要だ。またエアコンは後期のファイブ以外日本で装着されていたそうで、パーツが入手できず効かないものも多いという。購入時には必ず確認したい。

【CAR'S DATA:取材車両詳細】

ルノー5 GTL(1988年式)

 全長×全幅×全高:3590 ×1590 ×1365㎜/ホイールベース:2405㎜/車両重量:730 kg/エンジン:水冷直4 OHV8 バルブ/総排気量:1397㏄/最高出力:60 ps/5250 rpm/最大トルク:10 .7 kg-m/2500 rpm/サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム/ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム/タイヤ(F&R):155 /70 R13/取材協力:カーボックス愛知  http://www.carbox.jp/

 【CHRONOLOGY】ルノー・シュペール5 国内販売の変遷

1984年9月:シュペール5が発表される。

1987年1月:JAXがルノーの輸入代理権を取得し、ルノーimp Japan名で活動。元日から正式に発足し、販売を開始。日本に輸入されたのは、当初5タイプ6モデル。

● GL OHV1108cc+キャブレター 47PS  3ドア 5MT 左ハンドル

● GTL OHV 1397cc+キャブレター 60PS  3ドア 5MT 左ハンドル

● TS OHV 1397cc+キャブレター 72PS  3ドア 5MT 左ハンドル

● AT 3DOOR OHV 1397cc+キャブレター 68PS  3ドア 3AT左ハンドル

● AT 5DOOR OHV 1397cc+キャブレター 68PS  5ドア 3AT左ハンドル

● GTターボ  OHV 1397cc+キャブICターボ 115PS  3ドア 5MT左ハンドル

1987年9月:フランクフルトショーでマイナーチェンジ・モデルを発表。

 1988年1月:日本でマイナーチェンジ・モデルを、6タイプ7モデル発売。

● GL OHV 1108cc+キャブレター 47PS   3ドア 5MT 左ハンドル

● GTL OHV 1397cc+キャブレター 60PS  3ドア 5MT 左ハンドル

● AT 3DOOR OHV 1397cc+キャブレター 68PS  3ドア 3AT 左ハンドル

● AT 5DOOR OHV 1397cc+キャブレター 68PS  5ドア 3AT 左ハンドル

● GTX SOHC1721cc +キャブレター 90PS  3ドア 5MT 左ハンドル

● バカラ SOHC 1721cc+キャブレター 90PS 3ドア 5MT 左ハンドル

● GTターボ OHV1397cc+キャブICターボ 120PS 3ドア 5MT 左ハンドル

1988年6月:一部グレードを変更。GTLがGTSになる。

● GTS OHV1397cc+キャブレター 68PS  3ドア 5MT 左ハンドル

1988年6月:シュペール5ベースの多目的車エクスプレスを日本市場で発売。ガソリンとディーゼルの2タイプを用意。

● エクスプレス GTL OHV 1397cc+キャブレター 60PS  3ドア 5MT 左ハンドル

● エクスプレス GTD SOHC 1595ccディーゼル+キャブレター 55PS 3ドア 5MT 左ハンドル

 1990年3月:エンジンを電子制御化するなどした90年モデルを日本市場で発売。グレードが整理され、5タイプ6モデルとなる(GTターボは変更なし)。

● ファイブ OHV1389cc+電子制御燃料噴射 58PS 3ドア 5MT 左ハンドル

● GTX SOHC 1721cc +電子制御燃料噴射 73PS 3ドア 5MT 左ハンドル

● バカラ SOHC 1721cc+電子制御燃料噴射 73PS 3ドア 3AT 左ハンドル

● AT 3DOOR SOHC 1721cc+電子制御燃料噴射 73PS 3ドア 3AT 左ハンドル

● AT 5DOOR SOHC 1721cc+電子制御燃料噴射 73PS 5ドア 3AT 左ハンドル

● GTターボ OHV1397cc+キャブICターボ 120PS 3ドア 5MT 左ハンドル

1990年9月:シュペール5の後継モデル、クリオ(ルーテシア)が発表される。その後も車種を絞って、シュペール5の生産は継続。日本では在庫車両の販売が終了次第、ファイブとエクスプレスに集約。

 1992年7月:JAXがフォルクスワーゲン・グループ・ジャパンに買収され、ルノーの輸入代理権を返上。一時正規輸入が途絶えることに。

 1994年9月:ヤナセ系フランス・モータースがルノーの新たな輸入代理店となるが、シュペール5の日本での販売は再開されなかった。シュペール5ファイブ(最終型はバイバイ)の生産は1996年まで継続された。またエクスプレスは1992年まで本国、その後台湾などで暫く生産が続いた。

GL & GTL (EARLY MODEL):最初期型のGL(赤)とGTL(青)。エンジンは1.1リッター/47 psと1.4リッター/60 ps。エンブレムがグリル中央に備わる。
GT TURBO (EARLY MODEL):1.4リッター直4OHV エンジンにインタークーラーターボを追加し、115 psとしたGTターボ。ドッカンターボで人気に。
GTX (MID MODEL):1988 年日本発売の中期型から、直4 SOHC1.7リッター・エンジンが登場。これはゴージャス&スポーティなGTX。
5DOOR (MID MODEL):3ドアより全長で60㎜、ホイールベースは55㎜長い5ドアは、日本ではATグレードにのみ用意されていた。
GT TURBO (MID MODEL):GTターボは1988 年のマイチェン(日本国内)で、エンジンがキャブターボのまま、120psにパワーアップ。
BACCARA (MID MODEL):日本では1988年に1.7リッター+5MTで登場し、1990 年から3 ATとなったバカラ。本革シートやコートケースを装備。
EXPRESS:日本では1988~92 年に発売されたエクスプレス。商用車ベースの多目的車で、後にカングーへとつながる。
FIVE (LATE MODEL):日本では1990 年から3ドアのみが発売された、廉価モデルのファイブ。写真は本国の5ドア仕様だが細部は同様。

【TOPICS】こんなモデルがあるのをご存知?

  バリエーションが豊富なシュペール5 だが、珍しいモデルも存在する。ベルギーのEBS社が改造し、本国ではルノー・ディーラーで販売されたカブリオレもその一つ。1400台程作られたと言われ、日本にも1台サンプルで輸入されたようだ。一方エクスプレスは1992年に本国生産を終えた後、台湾など数か国で生産が続いた。その際2 度マイチェンを受けて、フロントグリルなどの意匠が変わっている。これも日本に並行輸入された。

Text:中島秀之  Photo:奥村純一
Special Thanks:カーボックス愛知  http://www.carbox.jp/
TIPO 2017年11月号より転載

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