【趣味の中古車ガイド】アルファ・スパイダー(Sr.4)が欲しい!!【Purchase Project 14】

中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、スタイリッシュでクラシカルな雰囲気が手軽に味わえる、初代アルファ・スパイダーの最終型、Sr.4の詳細に迫ります。

【趣味の中古車ガイド】アルファ・スパイダー(Sr.4)が欲しい!!【Purchase Project 14】
シリーズ4ではリアスポイラーなどが廃止され、基本デザインの良さが強調されることになった。

【SUMMARY】

 アルファロメオのジュリア・シリーズ(105系)は、1962年にまずセダンのみが登場し、クーペとスパイダーはジュリエッタ系ボディの1.6リッター版にその名が与えられていた。クーペは翌年新しいボディになったが、スパイダーは1965年まで古いボディのまま生産が続けられた。

 1966年のジュネーブショーでようやくスパイダーの新型が登場。直列4気筒1.6リッターDOHCエンジンをフロントに縦置きし後輪を駆動、サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーンでリアがトレーリングリンクによるリジッドという、ジュリア系のメカニズムを流用。ボディはピニンファリーナの手による美しいデザインを採用していたが、テールエンドが丸く尖っていたことからボートテールとも呼ばれた。また車名は旧型との混同を避けるためかアルファ・スパイダーとされたが、公募で決定したサブネームのデュエットの名も用いられた。

 その後スパイダーはバリエーションを増やしつつ、1969年にはテールをスパッと切り落としたようなデザインのシリーズ2、通称コーダトロンカに進化。更に1983年には前後スポイラーなどを装備したシリーズ3、通称エアロディナミーカへと発展した。1986年にはエンジンが電子制御インジェクション化され、エアロパーツなどを備えたクアドリフォリオ・ヴェルデが追加されている。また1988年から大沢商会の手で、このシリーズ3が国内販売されている。

 1990年に、前後樹脂バンパーやパワーステアリングなどを装備し、ピニンファリーナでリデザインされたシリーズ4、通称ヴェローチェがデビュー。前年設立された日本法人の手で、5速MT仕様と3速AT仕様が1991年から国内販売された。

 このシリーズ4は1993年まで生産され、ジュリア系スパイダーは27年におよぶ長い寿命に終止符をうったのだった。

【EXTERIOR & ENGINE】クラシックとモダンが見事に融合

丸型のヘッドライトはキャレロ製。バンパーにスモール&ウインカー、サイドウインカーを装着する。
テールライトは上段端部分がスモール&ブレーキで隣が反射鏡、下段端がウインカーで隣がバック。
長い歴史を持つアルファ・ツインカムを搭載。2リッター+電子制御インジェクションで120ps/17.3kg-mを発揮する。高回転での伸びはないが低速から扱いやすい。

【INTERIOR & LUGGAGE】イタリアの伊達をインテリアでも強調

斜めに生えたシフトレバーが特徴的なインテリア。ステアリングは本来エアバッグ付だが、現車はmomoのINDYに交換されていた。全体の造形やカラーリングは、いかにもイタリアらしい雰囲気だ。
透明パネルの奥に整然と並んだメーター。速度計とタコメーターの間は、上段が油圧と電圧、下段が燃料と水温。
センターコンソール部には空調関係と時計があり、下段にパワーウインドーとハザード・スイッチなどが並ぶ。
表皮がレザーとバックスキンのコンビのシート。オープンカーだが座面の厚さ、長さとも十分にあり、座り心地が良い。
シート後方に大きなスペースがあり、荷物が積めるのも嬉しい。現車はここにナビの本体やスピーカーを設置している。
深さはそれ程ないが十分に広いトランクスペース。カーペットのバルクヘッド部にアルファのマークが刻印されていた。

【IMPRESSION】クラシカルな味わいを残しつつ日常的に使えるのが魅力

 今回お借りしたのは1992年式のシリーズ4で、ステアリングやホイール、ミラーや幌などにモディファイが加えられたお洒落な1台。車高の低さの割りに着座位置の高いシートに座ると、足が近く手が遠い懐かしのイタリアン・ポジションに自然となる。ただし操作し難いという程でもなく、シートの形状が良いこともあって、疲れは少なくてすみそうだ。

 インパネ下から斜めに生えたマニュアルシフトのレバーは、ごく自然に扱える。走り出すと、パワステのお陰でステアリングが軽いことと、エンジンの低速トルクがあることで、とても扱いやすい印象を受ける。クーラーも装着されているし、電子制御インジェクションで気を遣う必要もないから、現代の路上でもごく普通に運転できる感じなのだ。

 一方で残念な部分もある。まずエンジンは4500rpmくらいで頭打ちな印象で、ツインカムらしい高回転の伸びを期待すると少々ガッカリする。またステアリングは、軽いのは良いが、直進性が今一つな印象だった。

 足まわりに関しては、この個体は強化サスペンションを装着しているようでやや硬めな印象だ。ただしタイヤがノーマルの190/60-15から185/70-14に変更されており、路面からの突き上げは上手く抑えられていた。

 クラシカルな味わいは残しつつ、日常的に使えるフレキシビリティを持つ最終型スパイダー。アルファ好きのセカンドカーとしてはもちろん、ヒストリックカー入門用にも最適だろう。

【TROUBLE SHOOTING】

#01 基本設計は60年以上前なので運転する時に各部をチェックしたい

  ジュリア系アルファ・スパイダーは、最終型であっても30年以上が経過しているし、基本設計は60年以上前のクルマだ。このため、日頃からクルマの状態を把握し、適切な対処をする必要がある。例えばエンジンオイルは硬めの鉱物油を使うのが望ましいのだが、それでも1000km に一度は油量をチェックし補充する必要がある。また電気系の接触不良も起きやすい。運転している時に各部の状態をチェックすることがトラブルの防止に繋がるはずだ。

#02  経年劣化により傷む箇所も多いゴム類や樹脂類は早めの交換を

  経年劣化による傷みも、この時代のクルマでは要注意ポイント。サスペンションのブッシュやエンジンマウントは傷みやすいので常に注意したい。またエンジンのインジェクターに繋がる燃料ホースや、エアクリーナーから吸気ダクトに向かう樹脂製のダクトなども劣化しやすいパーツ。燃料漏れや、空燃比異常など、重大なトラブルに直結している部分なので、早めの交換を心掛けたい。中古車を買った場合は、一気に全部を交換してしまうのが一番安心だろう。

#03  ジュリア系はシンクロが弱点、プロペラシャフトの傷みにも注意

  ジュリア系全般に言えることだが、ミッションのシンクロが弱い。特に1〜3速が傷みやすく、ギア鳴りを起こしやすい。各ギアのシンクロとスリーブを交換すれば治るが、部品が入手し難くなっているというから、常に丁寧な操作を心掛けたい。またミッションからデフに繋がるプロペラシャフトのユニバーサルジョイントとカップリングも傷みやすいポイント。サポートブロックやベアリング共々交換する必要があり、その場合十数万円の出費が必要となる。

#04  その他細かなトラブルの可能性もある程度覚悟して適切な対応を

  この他、バックアップランプが灯きっぱなしになることがあるが、これはミッション内にあるスイッチの劣化が原因。修理はシンクロ交換などのタイミングで同時に行うのがお勧めだ。またパワステから異音がするケースもあるそうだが、フルードの減りかポンプから伸びるホースの劣化を確認したい。なおダッシュボードの割れ、シートや幌の破れは、この時代のクルマゆえ仕方のない部分。このうち幌は社外品のものが各種あり、カラーや材質を選択できる。

【CAR'S DATA:取材車両詳細】

アルファ・スパイダー・ヴェローチェ 5速M/T

全長×全幅×全高:4260×1630×1290mm/ホイールベース:2250mm/車両重量:1180kg/エンジン:直列4気筒DOHC8バルブ/総排気量:1961cc/最高出力:120ps/5800rpm/最大トルク:17.3kg-m/4200rpm/サスペンション(F/R):ウイッシュボーン/リンク固定/ブレーキ(F&R):ディスク/タイヤ(F&R):195/60R15/取材協力:K-REX   http://k-rex.juno.weblife.me/

【CHRONOLOGY】アルファ・スパイダー(初代)販売の変遷

1966年3月:ジュネーブショーでスパイダー1600デュエット発表。

 1967年:スパイダー1750ヴェローチェ発売。

 1968年:スパイダー1300ジュニア発売。

 1969年:トリノ・ショーでコーダトロンカ・ボディのシリーズ2を発表。スパイダー1300ジュニアと同1750ヴェローチェの2種。

 1971年:スパイダー2000ヴェローチェを発売。北米向けにスピカ製インジェクション付のスパイダー2.0iを発売。

 1972年:スパイダー1.3ジュニアと同1.6ジュニアを発売。

 1980年:スパイダー1.6ヴェローチェを発売。

 1983年:前後スポイラーなどを装着したシリーズ3が登場。通称エアロディナミーカ。2リッター128psと1.6リッター104ps(本国仕様)。この年いっぱいで伊藤忠商事がアルファロメオの輸入から撤退。日英自動車が引き継ぐ。

 1985年:日英自動車がオースチン・ローバー・ジャパンに吸収され、この年いっぱいでアルファロメオの輸入業務から撤退。以後暫く日本への正規輸入が途絶える。

 1986年:2リッターエンジンにボッシュ製電子制御インジェクションが装着される。

1986年3月:ジュネーブショーで、シリーズ3をベースにエアロパーツやハードトップを装備しインパネを変更した、クアドリフォリオ・ヴェルデが登場。127ps(EC仕様)。

 1988年6月:大沢商会がアルファロメオの輸入販売を開始。2リッターのシリーズ3クアドリフォリオ・ヴェルデをスパイダーとして販売。

☆ スパイダー 115ps  5速MT  左ハンドル

 1990年3月:インジェクションを変更し125psとしたクアドリフォリオを日本市場で発売。ボディはクアドリフォリオ・ヴェルデのまま。

☆ スパイダー・クアドリフォリオ  125ps 5速MT 左ハンドル

1990年4月:日本法人アルファロメオ・ジャパン設立。ディーラー網アレーゼがスタート。大沢商会は販売を順次終了。

1990年11月:日本法人がフィアットアルファロメオ・モータースジャパンに改称。

 1991年1月:新デザインの前後バンパーなどを装備したシリーズ4を日本市場で発売。パワーステアリングを装備し、3速ATもラインナップ。

☆ スパイダー(ヴェローチェ) 120ps 5速MT 左ハンドル

☆ スパイダー(ヴェローチェ) 120ps 3速AT 左ハンドル

 1993年:FR系スパイダーの生産を終了。

 1994年1月:日本での販売を終了。

 1996年1月:日本で新型スパイダー(FF)が発売される。

SPIDER (Sr.3) 2.0:1983年に登場したシリーズ3は、前後にスポイラーを装着するなど各部がモダナイズされた。樹脂製パーツが増えたのも特徴だ。
SPIDER (916):1995〜2006年に生産された、FFのGTVをベースとした第2世代のスパイダー。写真は後期型で、アルファの楯が大きい。
SPIDER (939):2006〜2010年に生産された、ブレラをベースとした第3世代のスパイダー。大きく重くなり、初代の軽快感は影を潜めた。

【TOPICS 】4代目はいまだ登場せず

 2010年のジュネーブショーで発表されたコンセプトカー、デュエットタンタ(写真)は、ピニンファリーナによる美しいデザインのボディを持つFRスパイダーだった。フィアット&アルファロメオは、このクルマの市販のためにマツダ・ロードスター用シャシーの使用を検討する。だが諸般の事情により、マツダ製シャシーを使い2016年に市販されたのはフィアット/アバルト124スパイダーだった。このためアルファ・スパイダーの名は、2010年に生産を終了したブレラ・ベースの3代目モデルを最後に途絶えている。

Text:中島秀之  Photo:奥村純一
Special Thanks:K-REX   http://k-rex.juno.weblife.me/
TIPO 2014年5月号より転載

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