【趣味の中古車ガイド】シトロエンBXが欲しい!!【Purchase Project 10】
中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、1980年代に日本でも高い人気を誇った、ハイドロニューマチック搭載モデル、シトロエンBXの詳細に迫ります。

【SUMMARY】
シトロエンBXは、1982年秋のパリ・サロンで、事実上GS系の後継車として発表されている。
プジョーのパーツを最大限利用しつつ、サスペンションなどには独自のハイドロニューマチックを採用。ボディデザインはベルトーネのチーフ、マルチェロ・ガンディーニが担当した。
初期型はボビン式メーターなどを装備。日本には西武自販を通じて、1984年5月に1.6リッター直4SOHC+キャブ+5速MTの16TRSがまず輸入された。翌年パワーステアリング付となり、4速ATも追加されている。
1986年秋には、マイナーチェンジされたモデルを導入。ライト周りやバンパーが変更され、インパネは一般的なアナログ式になった。また1.9リッター+キャブの19TRSも追加された。
1987年には、120psの1.9リッターSOHC+インジェクション・エンジンとエアロパーツを装備した19GTi、19TRSブレーク(4速AT)を追加。
1989年にはGTiと同じ120psエンジンの19TRIブレークや、1.9リッターDOHC16バルブ(145ps)エンジンとエアロを装備した19GTi 16バルブを発売。更に1.9リッターSOHC+インジェクション・エンジンの19TRI(100ps)も登場した。
同年秋からマツダ系のユーノス店でも取り扱いを開始。1990年には1.6リッター+キャブの16TZS(西武自販)や1.6リッター+SPIの16TZI(ユーノス)が登場。更に1991年春に5ドアとブレークの19TRIは19TZIに進化し、1993年まで販売が続けられた。
【EXTERIOR & ENGINE】 細身の角張ったボディが今となっては新鮮

【INTERIOR & LUGGAGE】快適な座り心地のシートと十分に広い室内
左:床面がフラットで使いやすい荷室。中:6対4分割可倒になったのは1991年モデル以降。それまでは一体可倒。右:ダブルフォールディングにすれば、荷室は広大に。
【BX BREAK】 荷物をたくさん積めてスタイリッシュなワゴン

もう一台取材したのは1989年式19 TRIブレーク。リアオーバーハングを伸ばし、広大な荷室を生み出したワゴンで、5ドア車より未来的なイメージもあった。

【IMPRESSION】 フワリと浮いた独特の感覚と癖のあるブレーキ

今回取材でお借りしたのは、1991年式16TZSと、1989年式19TRIブレークの2台。このうち前者は、当時西武自販の専売グレードだった、シングルキャブレター付1.6リッター・エンジン搭載車で、左ハンドルの4速AT。
厚みがそれほどあるわけでないのに、座ると沈み込んで身体を包む独特のシートに腰を下ろし、Dに入れて走り始める。
92.5psのエンジンは、非力かと思いきや、意外にも過不足なく1トン強のボディを加速させていく。ブレーキはこの時代まだハイドロ制御のため、ペダルを踏む力で効きをコントロールするスイッチ的な感覚だが、慣れるとこれが楽しく思えてくる。
パワーステアリングもハイドロ制御で、少し遅れてアシストが入るような独特の感覚だが、これもすぐに慣れてしまう。
あとはもう、ハイドロニューマチック特有のフワリと浮いたように感じられる乗り心地に身を任せていれば、実に快適に過ごしていられる。自分が普段足に使っている、ハイドラクティブⅢのC5に比べると、ピッチング、ロール共に大きくて、飛ばす気が全くおきないが、これはこれで安全なような気もした。
もう一台の19TRIブレークに乗り換えてみよう。セミバケット風シートは標準型に比べてやや硬めだが、今となってみると、これでも十分にソフトで心地よい。1.9リッター・エンジンはインジェクション付なのでアイドリングでも安定しており、走り出すと、16TZSより明らかにトルクフルな印象。こちらの方が気軽に乗れそうな感じを受けた。


【TROUBLE SHOOTING】
- ATや足周りは壊れる前に対処を
ハイドロはオイルが漏れる箇所が決まっており、定期的にパーツを交換することで対処できる。ZF 製4 速AT は耐久性が乏しく、1 ~ 2 万㎞ごとのATF 交換が必要。またZX やエグザンティアのAT に交換することも可能だそうだ。ストラットのアッパーマウント抜けは持病で、リビルトの対策部品への交換がお勧め。フロント・ストラットの作動不良もよくあるが、国内でオーバーホールできるという。 - 新品パーツがないものは中古に交換
タイミングベルトは5 ~ 6万㎞ごとの交換が必要。またリアサスペンションのアームベアリングが7 万㎞程で劣化するそうで、交換が必要とのこと。悪化するとアーム本体の交換になる。内装では樹脂パーツが劣化しやすい。割れなどが生じた場合、新品はないので、中古パーツに交換するしかない。またボビン時代のシート生地は擦り切れやすいが、これも似た生地に張り替えるしかない。
【CAR'S DATA:取材車両詳細】

CITROËN BX 16TZS(1991年式)
全長×全幅×全高:4235×1680×1365 mm/ホイールベース:2655 mm/車両重量:1110 kg/エンジン:水冷直列4 気筒SOHC/総排気量:1580 cc/最高出力:92.5PS/6000 rpm/最大トルク:13.4kg-m/3500 rpm/サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム/ブレーキ(F&R):ディスク/タイヤ(F&R):165 /70 R14/取材協力:MODERN-SUPPLY GARAGE http://garage.modern-supply.com/
CITROËN BX 19TRI BREAK(1989年式)
全長×全幅×全高:4400×1680×1430mm/ホイールベース:2655 mm/車両重量:1060 kg/エンジン:水冷直列4 気筒SOHC/総排気量:1904cc/最高出力:120ps/6000 rpm/最大トルク:15.6kg-m/3000 rpm/サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム/ブレーキ(F&R):ディスク/タイヤ(F&R):175 /65 R14/取材協力:MODERN-SUPPLY GARAGE http://garage.modern-supply.com/
【CHRONOLOGY】シトロエンBX 国内販売の変遷
1982年9月:パリ・サロンでシトロエンBXが発表。


1984年5月:西武自動車販売により、BXの正規輸入、国内販売が開始される。当初、直4SOHC1.6リッター+ウェーバー・シングルキャブ、5速MTで90ps(DIN以下同)の16TRSのみ。ボビンメーター、ノンパワステ。
* BX 16TRS 直4SOHC1.6リッター+キャブ 90ps 5速MT 左ハンドル
1985年5月:BX16TRSに4速AT仕様を追加発売。これに伴い、パワーステアリングを5速MT、4速AT両方に装備。
* BX 16TRS 直4SOHC1.6リッター+キャブ 90ps 4速AT 左ハンドル

1986年11月:マイナーチェンジされたモデルが日本で発売される。前後バンパー形状が変更され、フロントはエアダムスカートが一体化され、ウインカーが大きくなった。インパネはアナログメーターに変更され、サテライトスイッチも改良された。更に直4SOHC 1.9リッター+シングルキャブレター(MTソレックス、ATウェーバー)で100psのエンジンを搭載した19TRSが追加発売された。
* BX 16TRS 直4SOHC1.6ℓ+キャブ 90PS 5速MT/4速AT 左ハンドル
* BX 19TRS 直4SOHC1.9ℓ+キャブ100PS 5速MT/4速AT 左ハンドル

1987年1月:直4SOHC 1.9リッター+ボッシュLE3ジェトロニックで120psのエンジンを搭載したスポーツグレードのGTIを追加発売。バケットタイプシート、リアスポイラーなどを装備。
* BX 19GTI 直4SOHC1.9リッター+インジェクション 120ps 5速MT 左ハンドル

1987年10月:ステーションワゴンのBX19TRSブレークを追加発売。リアオーバーハングを延長し、広大な荷室を実現。直4SOHC 1.9リッター+キャブ/100psで、4速ATのみの設定。
* BX 19TRSブレーク 直4SOHC1.9リッター+キャブ 100ps 4速AT
1989年2月:直4SOHC1.9リッター+ボッシュ・モトロニックM1-3で120psのエンジンを搭載した、BX 19TRIブレークを追加発売。4速ATのみ。
* BX 19TRIブレーク 直4SOHC1.9リッター+インジェクション 120ps 4速AT
1989年2月:直4SOHC1.9リッター+ボッシュ・モトロニックM1-3で120PSのエンジンを搭載した、**スポーツグレードのGTIに4速AT仕様を追加発売。
* BX 19GTI 直4SOHC1.9リッター+インジェクション 120ps 4速AT 左ハンドル

1989年2月:直4DOHC16 V 1.9リッター+ボッシュ・モトロニックML4 -1(1991年からM1-3)で145 psを発揮するエンジン、フロントスポイラー、サイドステップ、リアオーバーフェンダー、スポイラーなどのエアロパーツ、更に専用バケットシートなどを装備した、BX19 GTI 16 Vを追加発売。
*BX 19 GTI 16 V 直4 DOHC16 V 1 .9リッター+インジェクション 145 ps 5速MT 左ハンドル
1989年3月:BX16TRSとBX19TRSに右ハンドル仕様を追加。
1989年4月:直4SOHC1.9リッター+ボッシュLU2ジェトロニックで100psのエンジンを搭載した、BX 19TRI(5ドア)を追加発売。4速ATのみ。
* BX 19TRI 直4SOHC1.9リッター+インジェクション 100ps 4速AT 左右ハンドル
1989年9月:マツダ系販売会社ユーノスで、BXの正規販売を開始。ユーノスの取り扱いグレードは、BX19TRI、BX19TRIブレーク、BX19GTiの3種。

1989年11月:ユーノスで、BX19 16V(GTi 16Vから変更)の取り扱いを開始。これに伴い、前後バンパー、リアスポイラー、サイド・プロテクトモール、リアクォーター・エアアウトレットの形状を変更。以後西武自版取扱い車もこのタイプとなる。
* BX19GTi16V直4 DOHC16 V 1.9リッター+インジェクション 145ps 5速MT左ハンドル
1990年2月:シトロエン、西武自版、マツダの3社出資で、「シトロエン・ジャポン株式会社」が設立され、PDI業務や販売戦略の統一化が図られる(1998年に解散し、2001年にシトロエン本社100%出資の会社として再開)。
1990年5月:西武自版が、BX16TRSに代わるベーシックグレードとしてBX16TZSを発売。サイドプロテクションモールやテールランプを変更。直4SOHC1.6ℓ+キャブ で92.5psのエンジンを5速MTまたは4速ATと組み合わせる。
*BX16TZS 直4SOHC1.6リッター+キャブ 92.5ps 5速MT/4速AT 左ハンドル
1990年10月:ユーノスが、直4SOHC1.6リッター+マニエッティ・マレリ製シングルポイント・インジェクションで89psのエンジンを搭載したBX16TZIを発売。バンパー上部が黒となり、リアシートを6対4分割可倒に変更。以後TZ系グレードはこの仕様となる。4速ATのみ。
*BX16TZI 直4SOHC1.6リッター+インジェクション 89ps 4速AT 左右ハンドル

1991年3月:BX19TRIとBX19TRIブレークに代わる、BX19TZIとBX19TZIブレーク(ユーノスではエバシオン)を、西武自版とユーノスで発売。エンジンはTZIが直4SOHC1.9ℓ+ボッシュLU2ジェトロニックで100ps、ブレーク(エバシオン)はボッシュ・モトロニックM1-3で120ps。共に4速ATのみ。
* BX 19TZI 直4SOHC1.9リッター+インジェクション 100ps 4速AT 左右ハンドル
* BX 19TZI ブレーク(エバシオン)直4SOHC1.9リッター+インジェクション120ps 4速AT 左ハンドル

1991年秋:TZ系の、5ドアのCピラーがGTi系と同じ、ウインドーのないものとなる。またフロントシート形状が、GTi系と同様のセミバケットタイプとなった。

1991年冬:西武自版専売モデルのBX16TZSが廃止され、ユーノス系と同じBX16TZIを販売することになる。
1993年夏:BX19TZIをベースに、黒い本革シート、リアスポイラー、アルミホイール、サンルーフなどを装備した最終限定車を、マルーンとグリーン各50台ずつ計100台限定発売。
*BX19TZI 最終限定車 直4SOHC 1.9リッター+インジェクション 100ps 4速AT 左右ハンドル
1993年10月:日本での販売を終了。
【TOPICS】グループBから驚きの改造車まで

BXの変わり種ということでは、WRC 挑戦を目指して、当時のグループB規定で作られたBX4TCが有名だ。2.14ℓ直4SOHCターボ・エンジンを、4WDと組み合わせる。市販車で200ps、ラリー車は380ps。ラリーでは活躍できなかったが、1985年に200台が市販された。

またフランスのカロジエであるユーリエは、BXベースで様々な改造車を製作、市販した。写真は2ドアワゴンのディアナ。スタイリッシュで非常に魅力的だ。
Text:中島秀之 Photo:奥村純一
Special Thanks:MODERN-SUPPLY GARAGE http://garage.modern-supply.com/
TIPO 2019年12月号より転載