【CITROËN C5 AIRCROSS】ロングドライブで分かったシトロエンらしさとは?【往復1,400㎞試乗】後編

シトロエンの新型C5エアクロスで目的地の岡山に向かって出発したティーポ佐藤。新世代フラッグシップの真価を探るべく、単なる移動とは異なる片道700㎞の長距離試乗に漕ぎだした。

【CITROËN C5 AIRCROSS】ロングドライブで分かったシトロエンらしさとは?【往復1,400㎞試乗】後編

乗り心地だけではないストレスのない走り

高速道路へ合流し、アダプティブクルーズコントロールをセットすれば、あとは流れに身を任せるだけ。加減速はスムーズで、交通量が多い状況でもストレスは少ない。
ここで印象に残ったのが、1.2リッターエンジンと48Vシステムを組み合わせたマイルドハイブリッドの扱いやすさだった。1.2リッターという排気量から想像する以上に、発進から巡航速度までの加速は力強く、モーターのアシストもあって速度の乗り方は実に滑らかだ。高速道路での合流や追い越しでも力不足を感じる場面は少なく、アクセルを踏み込めば必要なだけの加速を自然に引き出してくれる。
6速DCTも、ことさら変速を意識させることなくスムーズにギアをつないでいく。低速域ではマイルドハイブリッドならではの穏やかさがあり、高速巡航ではエンジン回転を抑えながら淡々と距離を重ねていく。突出した速さを主張するタイプではないものの、C5エアクロスが持つ快適性や落ち着いたキャラクターには、このパワートレインの性格がよく合っている。
【前編はこちら】

そして長距離を走ってみると、燃費性能の高さも見逃せない。高速道路だけでなく、市街地や一般道、さらに渋滞やワインディングまで含んだ今回のルートで、燃費計は15km/Lを記録した。燃費だけを意識して走ったわけではなく、エアコンを使いながら交通の流れに合わせてごく普通に走った結果だけに、この数字には素直に感心させられた。
何より印象的なのは、やはり乗り心地だった。高速道路という比較的良好な路面条件を差し引いても、C5エアクロスはフラットかつ穏やかに路面からの入力をいなしていく。車内の静粛性も高く、スピーカーから流れる音楽や同乗者との会話を邪魔しない。

新東名高速を順調に通過し、伊勢湾岸自動車道へ。しばらく進んだところで渋滞に遭遇したが、走っては止まるを繰り返す状況でも、運転支援に任せられるのはありがたい。こういう場面で生まれる小さな疲労の差が、数百kmを走った先では大きな違いとなって表れる。

とはいえ、クルマ好きとしては、やはり自分で操って走らせたくもなる。そこで、いつもは横目に通過してしまう琵琶湖へ立ち寄ってみることにした。湖畔にある撮影スポットを目指して一般道を走る。青空に浮かぶ入道雲に夏を感じながらのドライブは、かつて2CVのキャンバストップから見上げた空を思い出させた。
撮影を終えた後は、道中でたまたま見つけた、ひなびた佇まいの町中華でランチ。さらに近江八幡の旧市街でもクルマを止め、カメラを向ける。古い街並みに、赤いC5エアクロスが意外なほどよく映える。軒が連なる狭い道でも、ボディサイズから想像する以上に取り回しはしやすい。
そのまま京都市街へ向かう途中、比叡山ドライブウェイを辿ることにした。ところが雲行きはどんどん怪しくなり、山に差し掛かったところで叩きつけるような雨が降ってきた。排水溝から溢れる水を見て、ドライブウェイは諦め、一刻も早く山を下ることにした。

インストルメントパネル上面を低くフラットに仕上げることで、すっきりとした前方視界を確保している。MAXにはヘッドアップディスプレイも備わる。
東京を出発し新東名から伊勢湾岸道、新名神を経由して琵琶湖から京都を一般道で走行。その後、再び高速道路にて岡山を目指した(Googleマップより)。

ここで改めて分かったのは、C5エアクロスの足まわりは、単に柔らかいだけではないということだった。ストロークしながらもタイヤはしっかりと路面を捉え、ステアリングを通じてその感触が伝わってくる。操作に対するクルマの動きも素直で、コンディションの悪いワインディングでも不安を感じることなく走ることができた。
快適性を優先したクルマだからといって、ドライバーとの対話が希薄なわけではない。むしろ、路面からの不要な入力は巧みに取り除きながら、必要な情報はきちんと残している。このバランスこそ、C5エアクロスの乗り味を特徴づけているように思えた。
山を下ると京都の街並みが見えてきた。先ほどの雨が嘘のように、再び青空が広がっている。渋滞する中心地を避け、碁盤の目をくぐり抜けて再び高速道路へ合流。新名神高速道路から中国自動車道へと進み、快適な移動は続いていく。

やがて道路標識に「岡山」の文字が現れ、いよいよゴールも近づいてきた。寄り道を重ねたことでオドメーターは650kmを超えていた。それでも「ずいぶん走ったな」という疲労感は不思議なほど少ない。むしろ、まだ先へ行けそうな余裕すら残っていた。

2CVは、ゆっくり走ることで旅を豊かなものにしてくれた。一方のC5エアクロスは、疲れずに走れることで、もっと遠くへの旅を可能にしてくれる。60年以上の時を隔てた2台は、姿も速さも、使われている技術もまったく違う。それでも、移動する時間そのものを心地良いものにしようというシトロエンの考え方は、何も変わっていない。
その印象は復路でさらに強くなった。イベントを終えたあとの帰路は、いつもなら疲労を抱えながらの長距離移動になる。しかしC5エアクロスのゆったりとした乗り心地と、アダプティブクルーズコントロールの助けもあって、長い道のりを意識することなく東京まで戻ってくることができた。

往復の総走行距離は1400kmを少し超えた。それでも、まだ走れそうだと思えたのだから、このクルマのロングツアラーとしての実力は十分に伝わるだろう。しかも、特に燃費を意識した走りをしたわけではないにもかかわらず、平均燃費は15km/Lを超えていた。
速く目的地へ着くことだけが、優れた移動ではない。乗っている人が心地良く、その道中まで楽しめること。1961年の2CVと最新のC5エアクロスを結んでいるのは、そんなシトロエンならではの哲学なのかもしれない。そして1400kmを走り終えて思ったことは、C5エアクロスは目的地までの距離を短くするのではなく、遠さを感じさせなくしてくれるクルマだったということだ。

CITROËN C5 AIRCROSS MAX HYBRID
【SPECIFICATION】
全長×全幅×全高 : 4655×1905×1710mm
ホイールベース : 2790mm
トレッド(F/R) : 1630/1635mm
車両重量 : 1630kg
エンジン : 直列3気筒DOHC
総排気量 : 1199cc
最高出力 : 136ps/5500r.p.m.
最大トルク : 23.5kg-m/1750r.p.m.
モーター最高出力 : 20ps/4264r.p.m.
モーダー最大トルク : 5.2kg-m/750-2499r.p.m.
トランスミッション : 6速DCT
サスペンション(F/R) : ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R) : ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F/R) : 225/55R19/225/55R19
メーカー希望小売価格 : 585万円

公式サイト:https://www.citroen.jp/models/c5-aircross.html

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