【CITROËN C5 AIRCROSS】ロングドライブで分かったシトロエンらしさとは?【往復1,400㎞試乗】前編
自動車趣味誌ティーポ編集長の佐藤が、かねてから注目していたシトロエンの新フラッグシップ「C5エアクロス」を駆って、東京-岡山間往復のロングツーリング試乗を敢行! 長距離行で分かったその魅力をお伝えする。
今も昔も人に寄り添うクルマであり続けること
シトロエンには様々な思い出がある。20代の頃には知人からCXを譲ってもらい、しばらく乗っていたこともあった。初めて体感したハイドロニューマチックの独特なフィーリングには、最初こそ戸惑ったものの、いつしかその快適な乗り心地と、他のクルマにはない感覚に魅了されていった。
中でも忘れられないのが、2019年にフランスのラ・フェルテ・ヴィダムで開催された、シトロエン創業100周年の記念イベントに参加したことだ。そのイベントに参加するため、シトロエンの私設博物館から1961年式の2CVをお借りして、パリから会場までを往復した。

2CVに搭載される空冷2気筒エンジンの排気量は、わずか425cc。遠心クラッチ付きの4速トランスミッションを駆使し、フルスロットルで最高速度は80km/hが精いっぱいだった。オートルートでの移動を諦め、片道200km弱の道のりを一般道でトコトコと走ることにした。混み合うパリの街中でも、ハイスピードで流れる郊外の街道でも、こちらは常にマイペース。ゆっくり流れる風景を楽しみ、途中の街でカフェに立ち寄れば地元の人に話しかけられ、公園では偶然にも同じ世代の2CVに乗るオーナーとも遭遇した。
ハンモックシートに身を沈めれば、クルマは路面の上をフワフワとストロークしながら進んでいく。暑い時期だったにもかかわらず、ベンチレーションから入り、キャンバストップへと抜けていく生ぬるい風さえ心地良い。どこまでも走っていけそうな気がした。



100周年イベントは、シトロエンのテストココースがある「ラ・フェルテ・ヴィダム」横にある広場で開催。メーカーそして有志によって、歴代モデルが集結し、各モデルごとにスペースが与えられ並んでいた。3日間に渡って開催されたイベントは、様々な催しと共に盛大に行われた。

前置きが長くなってしまったが、そんな出来事を思い出したのは、新型C5エアクロスの試乗会でのことだった。
「快適さと独創性」というシトロエンのフィロソフィは、時代とともに進化しながらも今なお変わらない。かつてシトロエンの代名詞だったハイドロニューマチックに代わり、現在その独特な乗り心地を支えている技術のひとつが、プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)だ。ショックアブソーバーに油圧式のクッションが内蔵され、大きな入力に対してこのクッションが減衰力を発生させ、突き上げや揺り返しを抑えてくれる。



ダンパー内にサブクッションを内蔵したプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)と、肉厚のフォームを採用したアドバンスド・コンフォート・シートの相乗効果によって、乗員全員が快適に移動できる乗り心地を提供する。3気筒1.2リッターターボ+48Vマイルドハイブリッドは、燃費性能とドライバビリティを両立。ステランティスグループのミドルサイズを担う最新シャシーだ。
さらに、シトロエンが快適性を追求するうえで重要な役割を担っているのがアドバンスド・コンフォート・シートだ。たっぷりとした厚みを持つフォームが身体を柔らかく包み込み、サスペンションとシート、その両方で乗員への入力を和らげる。こうした積み重ねによって生み出されるのが、シトロエンが「魔法の絨毯」と表現する独特の乗り心地なのである。
それを支えるシャシーには、最新のSTLA Mediumプラットフォームを採用。日本導入モデルのパワートレインには、1.2リッターエンジンと48Vシステムによるマイルドハイブリッドに、6速DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)を組み合わせる。

では、そんな最新のシトロエンは、長距離を走らせたときにどんな表情を見せるのだろうか。C5エアクロスの実力を知るべく、われらTipo編集部が岡山国際サーキットで開催する「SPEED FESTIVAL with TIPO OVERHEAT MEETING」への移動も兼ねて、東京〜岡山間の往復約1400kmを走ることにした。

新型C5エアクロスを目の前にして、まず気づくのが一回り大きくなったボディサイズだ。全高はほぼそのままに、全長、全幅、ホイールベースを拡大。それに伴って室内やラゲッジスペースも広がり、より開放的な空間と高いユーティリティを実現している。
ガラリと変わったエクステリアは、無駄を削ぎ落としたスクエアなフォルムで、どこか彫刻のような造形美を感じさせる。新たなデザインアイコンとなる“Citroën Light Wings”も印象的で、光のシグネチャーに空力を意識したフィン形状を組み合わせるなど、デザインと機能性を両立しているところもシトロエンらしい。

室内は水平基調のレイアウトで、フローティングした縦型の大型タッチスクリーンが目を引く。ファブリックをはじめとする複数の素材とアンビエントライトを組み合わせたインパネは、柔らかく落ち着いた雰囲気を演出する。乗り込んだ瞬間から心地良さを感じさせる空間づくりもまた、シトロエンのお家芸といえるだろう。

岡山への移動は高速道路が主体となるが、途中で一般道も交えながら向かうことにした。夏休みの3連休とあって、渋滞を避けるべく早朝に出発したものの、すでに交通量は多め。約700kmの道のりには、様々な道路環境と目まぐるしく変わる天候が待ち受けていた。
【後編に続く】
CITROËN C5 AIRCROSS MAX HYBRID
【SPECIFICATION】
全長×全幅×全高 : 4655×1905×1710mm
ホイールベース : 2790mm
トレッド(F/R) : 1630/1635mm
車両重量 : 1630kg
エンジン : 直列3気筒DOHC
総排気量 : 1199cc
最高出力 : 136ps/5500r.p.m.
最大トルク : 23.5kg-m/1750r.p.m.
モーター最高出力 : 20ps/4264r.p.m.
モーダー最大トルク : 5.2kg-m/750-2499r.p.m.
トランスミッション : 6速DCT
サスペンション(F/R) : ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R) : ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F/R) : 225/55R19/225/55R19
メーカー希望小売価格 : 585万円