ティーポOBの嶋田智之さん【アルファロメオ・ジュニア】緊急試乗リポート!【後編:イブリダ】

ティーポOBの嶋田智之さん【アルファロメオ・ジュニア】緊急試乗リポート!【後編:イブリダ】
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イブリダの方は、見るのも触れるのも初めてだった。ここでもぶっちゃけておくと、初めてであるにも関わらず、デイリーな実用アルファとしてはよさそうだけど、スポーツ性についてはそう期待しない方がいいよな、なんて僕は考えてたりしたのだ。

アルファロメオ・スポーツカー伝統の「コーダトロンカ」デザインを踏襲したリアセクション。

理由その1は、イブリダはMHEVだというのに、モーターだけで走ることもできちゃうのだ。バッテリーの充電量がある程度満たされていて、アクセルの踏み込み量がそう多くなければ、モーターだけで発進してスルスルと30km/h+αまで行けちゃう。言うまでもなくそれは燃費に効くわけで、実用面での大いなる美点となる。せっかくの流れなのでそのあたりを先に記しておくと、実際に街中で穏やかに走っていたり軽い渋滞の中にいたりすると、予想してた以上にモーター走行の時間が長かったりする。モーターは小さいけど減速時にはしっかり回生が効いて、同じく容量の小さなバッテリーがメキメキと電気を取り戻してる感じ。ふと気づくとコースティング走行をしてたりもすることも多い。今回は何も気にせず試乗したので参考になるとは思ってないけど、踏むべきときには気持ちよく踏ませてもらって、それ以外はフツーに走って、最終的にメーターが示していたのは19.7km/Lという数字。それをもっと伸ばせる運転だってやろうと思えば容易くできるわけで、充分以上に満足できる数字だと僕は考えてる。

理由その2は、搭載される内燃エンジンが1199ccの直列3気筒DOHCターボで、パワーは136ps/5500rpm、トルクは230Nm/1750rpmという数値であること。48Vのマイルド・ハイブリッドシステムと組み合わせられるとはいえ、6速DCTに組み込まれたモーターは22psに51Nm。システム合計では145psとなるのだけど、モーターが小さいからBEVほど強力な加速感は望めないだろう。そんなふうに考えてたのだ。

うーむ……認識不足でした。謝ります。ごめんなさい。

1.2リッター3気筒ターボ+MHEV、結構やるヤツだった。何せゼロ発進の段階から排気量などを感じさせない力強さと粘っこさを発揮して、軽い驚きを与えてくれたのだ。小さなモーターは内燃エンジンの反応が鈍い領域や、微かに感じられるターボラグなどのネガを思いのほか上手にカバーしてくれて、ドライバーにじれったさや頼りなさを感じさせることがない。加速感も加速の伸び感も充分に満足のゆくレベルで、瞬発力ことエレットリカに譲るものの、総合的なパフォーマンスにおいて感覚的な遜色はまったくない。ふとパワーウエイトレシオを計算してみたら、エレットリカの10.1kg/psに対して、イブリダは9.2kg/ps。トルクの立ち上がりの面でBEVの方が有利だったりするから数字を単純比較する意味合いは薄いのだけど、なるほど、と感じられるものがあるのはたしかだ。さらに内燃エンジンとDCTを搭載するMHEVだからシフトパドルが備わってもいて、自分で変速していく操縦感覚が走る楽しさをさらに濃くしてくれるという面もある。

ハンドリングの面でも、エレットリカに劣ってる感じはしなかった。小さいし軽いとはいえ内燃エンジンを積んでるわけで、その分だけ重心高が高くなってるのは確かだ。クルマの基本構造が異なるので、これはもう致し方ない。なのに、ロールしていくときの動き方や抑え方、ロールの利用の仕方などはエレットリカと同じベクトルの上にあって、昔からのアルファ“らしい”テイストがここにも残ってる。サスペンションそのものはクルマの動きの自由度を高めつつ抑えるところはしっかり抑えるという感じで、曲がり方としてはより軽やか、乗り味としてはよりしなやか。ガンガン攻めるように走っても結構ついてきてくれるけど、それより8割とか9割ぐらいの領域で流して──とはいわないかもだけど──走るのが最も楽しくて気持ちいい。そんなふうに感じられるようなところがある。もしかしたら意図的に、常用域や常用域+αあたりでより満足感を得られるよう味つけされてるのかも。いずれにしても、エレットリカと比較しても楽しさや気持ちよさの総量は変わらず。要はこのカテゴリーでのトップクラスといえるほどのドライビングプレジャーがそこにある、ということだ。

そして何より喜ばしいこと最後にお伝えしておくと、ジュニアの価格は予想していたより断然リーズナブルだった。エレットリカが556万円で、CEV補助金の69万円+地方自治体の補助金を計算に入れると、優に500万円を切ることになる。イブリダは420万円から468万円、導入記念の200台限定特別仕様が533万円と、ジュリエッタ並みといえる範囲内にある。欧州での価格も知ってるし、昨今の為替の問題が車両価格だけじゃなく車両の輸送にまで大きな影響を及ぼしてることを知る身としては、かなりがんばった価格設定だよな……と強く感じている。ここに関してはステランティスジャパンを大きな声で賞賛したいところだ。

何だかやたらとベタ褒めしちゃったけど、僕はホラは吹くけどウソはつかない。ボチボチとショールームにジュニアが配備し始めて、7月12日からジュニアのデビューフェアもスタートするようだし、すべてのショールームでBEVもMHEVも試乗できるよう準備を進めてると聞くから、皆さんもぜひぜひ足を運んで乗り較べなどしてみて欲しいと感じる、今日この頃……じゃなくて今この瞬間なのである。

【前編:エレットリカはこちら】写真:山本佳吾 Keigo Yamamoto

ALFA ROMEO JUNIOR IBRIDA 商品サイトhttps://www.alfaromeo-jp.com/models/junior-ibrida

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昨年9月に日本に導入されたフィアット600e(セイチェント・イー)。日本での発表会には、フィアット・ブランドのチーフデザイナーであるフランソワ・ルボワンヌ氏が来日した。彼が語ったのは「BIG SMILE」というデザインコンセプト。まるでキャラクターの顔を描くようにフロントフェイスを造形し、街で出会った瞬間に思わず笑顔になれる存在を目指したという。確かに、ヘッドライトやグリルの造形には柔らかさと親しみやすさがあり、愛嬌を感じさせる。ボディ全体に対するボンネットの比率やリアハッチの傾斜は、初代セイチェントのDNAをしっかりと受け継いでおり、フィアットが長年培ってきた「誰もが笑顔になる愛嬌あるデザインと、優れた実用性の両立」という哲学が反映されているように思う。 フィアットといえば500(チンクエチェント)やパンダといった小型車でよく知られるが、600(セイチェント)は500とコンパクトSUVの500Xとの間に位置するモデル。クロスオーバーが主流となる今の市場にあっても、フィアットはあくまで「日常を楽しく彩る道具」としてのキャラクターを忘れていない。流行のクロスオーバーとは一線を画す、親