【趣味の中古車ガイド】ローバー・ミニが欲しい!!【Purchase Project 03】
中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、40年にわたり世界の人々に愛されたクラシック・ミニの後期型、ローバー・ミニの詳細に迫ります!

【SUMMARY】
1959年に誕生したクラシック・ミニ。日本では1976年に正規輸入が途絶え、複数の業者が並行輸入していた。だが1982年に当時の輸入元、日英自動車が日本仕様の販売を開始。999cc+キャブレター・エンジン、4速MTまたはATで、10インチホイールと四輪ドラム・ブレーキだった。
1984年に12インチホイールと前輪ディスクブレーキが標準となった。更に翌1985年には、日英自動車が輸入代理権をオースチン・ローバー・ジャパン(ARJ)に譲渡。以後ARJが輸入元となり、正規輸入車が販売される。
この時代、直4OHV+キャブレター・エンジンは999cc/42psで、グレードはメイフェアを主体に、様々な特別仕様車を用意。また1989年にはベース車のスプライトも登場した。
【EXTERIOR & ENGINE】誰からも愛される、小さくかわいいボディ
1989年に輸入元がローバー・ジャパンに改称。それまで単純にミニと呼ばれてきたが、この後次第にローバー・ミニと呼ばれるようになる。
1990年に、メトロ用1271cc/61psエンジンを搭載したクーパー1.3が登場、翌年レギュラー化される。更に1992年にはシングルポイント・インジェクション装備の1271ccエンジンが登場。メイフェアなどは53ps、遅れて登場したクーパー1.3i用は62(ATは53)psだった。
1996年末に広範囲の改良を実施。運転席エアバッグ、サイドインパクトバーやルーフアンテナの採用、内外装の変更などが行われ、4速MT車は全車62psとなった。この後2000年まで、新車の販売は継続された。
【INTERIOR & LUGGAGE】意外に豪華なインパネと、意外に広い車内
【IMPRESSION】思ったより優しい乗り心地とクイックで楽しいハンドリング

今回お借りしたのは、1996 年式メイフェア1 .3 i の4 速MT 仕様。
ドア内張のレバー類がアルミパーツになり、シフトブーツやアクセルペダルが変更されているが、それ以外はほぼノーマル。タヒチブルーのボディとグレーのファブリック内装の組み合わせは、かなり落ち着いた雰囲気で、どんな世代にも似合いそうだ。
小さな車体のドアを開け、運転席に収まると、ミニ独特の運転姿勢となる。寝かされたステアリングを上から抱えるように握り、タイヤハウスでペダルが左に寄っているため脚は内側を向くことになる。ただこれは、走り出してしまえばすぐに慣れる。シートは思ったほど窮屈な感じがなく、座面が比較的ソフトなため、座り心地は悪くない。
インジェクション装備のエンジンは元気で、各ギアでつい引っ張りたくなるのだが、そうすると車内は結構なサウンドに包まれる。設計年次を考えれば、これは仕方ないところだろう。一方スプリングの代わりにラバーコーンを使った足まわりは、もっと硬いかと思ったのだが、意外にも優しい当たりで、路面が良ければ快適だった。
ノンパワーのステアリングは、確かに据え切りだと重く感じるが、動いてさえいれば普通に操れる。それよりも、ステアリングの動きに鼻先がダイレクトに反応することが嬉しく思えた。
クーラーも効く最終期のミニは、クラシックカー入門編として最適と言える。気を遣う部分もあるが、現代車にはない楽しさを日常で味わえるはずだ。
【TROUBLE SHOOTING】労りの気持ちを持って接したい
- オイル管理には十分気を付けたい
ローバー・ミニはエンジンとミッションのオイルが共用のため、オイル交換は早めに行う必要がある。3000 km ごと、または春と秋の年2 回交換が目安で、夏は20 W/50、冬は10 W/40の鉱物油を使用して欲しいとのこと。またオイル消費量も多いため、こまめに油量を確認し、少なければ補充しておきたい。なお冬場はエンジンとミッションを温めるために、2~3 分暖気運転をして欲しいという。 - ゴムや樹脂のパーツは早めに交換を
生産終了から四半世紀以上経つため、エンジンやクーラー関係のホース類、ジョイントなどに劣化がある場合が多いが、これは必要なら交換したい。またサスペンションに使われるラバーコーンも定期的な交換が必要。交換すると車高が上がるが、それが嫌ならハイローキットで調整できる。ブレーキローターは7~8万km が交換の目安だ。いずれもショップと相談の上早めの交換を心がけたい。 - ラジエターにも気を配りたい
ラジエターのクーラントは車検ごとの交換が望ましいという。内部の錆を取り、ラジエター自体も長持ちする。またパーツとしてコア増しのラジエターもあり、これを使用すると真夏で水温が5 度程下がるそうだ。渋滞路をよく走るような使い方の場合に、有効とのことだった。
なおインジェクション・エンジンの不調は、バキュームホースのジョイント劣化が原因の場合が多いとのこと。 - 最終型はドア内部の錆に注意を
1996年末から販売された最終型は、安全装備の充実やエンジン制御の変更など、多岐にわたる変更が行われていた。その中に防錆処理の改良もあり、ドア内部に樹脂を吹いて防錆効果を高める処置が行われていたとのこと。ところがその樹脂が溶けて水抜き穴を塞ぎ、ドア内側に水が溜まって、そこから錆が発生する場合があるという。個体差もあるが、購入に際してはチェックしたい。

【CAR'S DATA:取材車両詳細】
MINI MAYFAIR 1.3i(1996年式)
全長×全幅×全高:3075×1440×1330mm/ホイールベース:2035mm/車両重量:720kg/エンジン:水冷直列4気筒OHV/総排気量:1271cc/最高出力:53ps/5000rpm/最大トルク:9.3kg-m/2600rpm/サスペンション(F/R):ウイッシュボーン/トレーリングアーム/ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム/タイヤ(F&R):145/70R12/取材協力:C.WORKS TEL:042-703-4140
【CHRONOLOGY】ローバー・ミニ 国内販売の変遷
1976年:BLカーズ(英本国)が、大衆車部門をオースチン・ローバー・グループとして改組(~1988)。

1982年5月 :ミニの輸入権を持つ日英自動車(日本)が、日本向け独自仕様を国内で販売。999cc 39psエンジン、4速MT、10インチホイール、2連メーターの1000HL。
■ミニ1000HL 4MT 右ハンドル
1983年:日本レイランド(1977~)がオースチン・ローバー・ジャパン(ARJ)と改称。
1983年10月 :日英自動車が、999cc 40psエンジンに4速MT/AT、豪華装備のメイフェアを追加発売。1000HLも40psになった。
■ミニ・メイフェア 4MT/4AT 右ハンドル

1984年7月:ミニ誕生25周年記念、ミニ25を日本で発売。シルバーの外装、12インチホイール、フロントディスクブレーキ、3連メーターなどを採用。日本限定120台。
■ミニ25 4MT 右ハンドル
1984年10月:ミニ1000H/L、メイフェアも12インチ・ホイール、フロント・ディスクブレーキなどを装備。
1985年:日英自動車がミニの輸入代理権をARJに譲渡し解散。以後ARJが輸入元となる。

1985年6月:ARJが正規輸入車を販売開始。グレードをメイフェアに一本化。999cc 42ps。
■ミニ・メイフェア 4MT
1985年11月:シルバーの外装と3色のシート、クロームバンパーなどを装備した、リッツを日本限定50台で発売。
■ミニ・リッツ 4MT 右ハンドル
1986年:BLカーズ(英本国)がローバー・グループに社名変更。
1986年春:専用内装やアルミホイールなどを装備したチェルシーを日本限定300台で発売。
■ミニ・チェルシー 4MT/4AT 右ハンドル

1986年夏:カシミヤ・ゴールドの外装と3色の内装、クロームバンパーなどを装備した、ピカデリーを限定発売。
■ミニ・ピカデリー 4MT/4AT 右ハンドル
1987年春: 黒のボディに黒とベージュの内装、クロームバンパーなどを装備した、パークレーンを日本限定700台で発売。
■ミニ・パークレーン 4MT/4AT 右ハンドル
1988年春:赤または黒の外装と専用シート、クロームバンパーなどを装備した、レッド・ホットとジェット・ブラックを限定発売。
■ミニ・レッド・ホット/ミニ・ジェット・ブラック 4MT 右ハンドル
1988年秋:1989年モデルを発売。全車にブレーキサーボを装備。ベース車スプライトを設定。メイフェアはクロームバンパー、新シート生地などを採用。左ハンドルの4速MTも設定。
■ミニ・スプライト 4MT 右ハンドル
■ミニ・メイフェア 4MT 右ハンドル/左ハンドル
■ミニ・メイフェア 4AT 右ハンドル
1989年4月:グリーンに白屋根のレーシング・グリーン、赤に白屋根のフレーム・レッドを限定発売。
■ミニ・レーシング・グリーン 4MT 右ハンドル
■ミニ・フレーム・レッド 4MT 右ハンドル
1989年4月:パールホワイトにピンク屋根のローズと、パールホワイトに水色屋根のスカイを限定発売。
■ミニ・ローズ 4AT 右ハンドル
■ミニ・スカイ 4AT 右ハンドル
1989年9月:オースチン・ローバー・ジャパンがローバー・ジャパンに改称。以後順次、車名がローバー・ミニに統一される。

1989年10月 :黒または赤メタリックのボディに、同色ミラー&オーバーフェンダー、赤革巻きステアリングなどを備えた、30周年記念車、サーティを限定発売。
■ミニ・サーティ 4MT/4AT 右ハンドル
1990年春 :レーシング・グリーン、フレーム・レッドに加え、黒/ 白のチェック・メイトを追加。

1990年12月:1271cc 61psエンジンを搭載し、クロームグリル、白ルーフ、ボンネットストライプ、一部レザーのシート、赤革巻ステアリング、8本スポークホイール、フォグランプ、サンルーフなどを装備したクーパー1.3を、日本限定650台で発売。
■ミニ・クーパー1.3 4MT 右ハンドル

1991年6月:1271cc+ターボ 95psエンジンを搭載し、独自のエアロパーツやインテリア&サスペンションチューニング、165/60R13タイヤを備える、ERAターボを発売。
■ミニERAターボ 4MT 右ハンドル

1991年6月:限定車クーパー1.3の装備を簡略化したレギュラー仕様を発売。またレーシング・グリーンなどをクラブマンと改称しレギュラー化。クロームグリル、革巻ステアリングなどを装備したメイフェアⅡを追加設定。
■ミニ・クーパー1.3 4MT 右ハンドル/左ハンドル
■ミニ・クラブマン 4MT 右ハンドル/左ハンドル 4AT 右ハンドル
■ミニ・メイフェアⅡ 4 MT 右ハンドル/左ハンドル 4AT 右ハンドル
1991年7月:クラブマンをベースに大型キャンバストップを装備したキャンバストップを400台限定発売。
■ミニ・キャンバストップ 4MT/4AT 右ハンドル
1992年3月:クーパー以外のエンジンを1271㏄+インジェクション/53 psに変更。簡素な1.3(1年後に販売終了)と、豪華なメイフェア1 .3を用意。AT のセレクターレバーを変更。
■ミニ1.3 4MT/4AT 右ハンドル
■ミニ・メイフェア1.3 4AT 右ハンドル
1992年7月:クーパーのエンジンにもインジェクションが採用され62psに。車名にiを追加。53psの4AT仕様も登場。
■ミニ・クーパー1.3i(62ps)4MT 右ハンドル/左ハンドル
■ミニ・クーパー1.3i(53ps)4AT 右ハンドル
1993年夏:一部仕様を変更。メイフェア、クーパー共、シート形状を変更。

1993年秋:ERA社で改造されたカブリオレを発売。エンジンはクーパー用62ps、1996年まで販売。
■ミニ・カブリオレ 4MT 右ハンドル
1994年1月:ローバー・グループ(英本国)がBMWにより買収される。
1994年6月:チャコールグレーの外装とベージュの本革内装、クロームグリルなどを装備した、35周年記念車を1000台限定発売。
■ミニ35クラシック 4MT/4AT 右ハンドル
1994年8月:一部仕様を変更。

1994年11月:クーパー1. 3i をベースに、グレーのアルミホイール、4連フォグランプ、赤/クリームの本革内装などを装備した、クーパー・モンテカルロ・スペシャルを1000台限定発売。
■ミニ・クーパー・モンテカルロ・スペシャル 4MT/4AT 右ハンドル
1995年7月:ドアトリムとシートにタータンチェックを採用したタータンを、2000台限定発売。
■ミニ・タータン 4MT/4AT 右ハンドル
1996年2月:一部仕様を変更。メイフェアを元に、ベージュの本革シート、フォグランプなどを装備したケンジントンを追加設定。
■ミニ・ケンジントン 4AT 右ハンドル
1996年6月:アーモンドグリーン+白ルーフでグリーンの本革内装(赤ボディに黒内装も)、4連フォグランプなどを装備した、ミニ・クーパー35周年記念車を2500台限定発売。
■ミニ・クーパー35thアニバーサリー 4MT/4AT 右ハンドル
1996年12月:1997年モデルで多岐にわたる改良を実施。サイドインパクトバーを設置、アンテナがフェンダーからルーフに移動。内装は運転席エアバッグが装備され、シート形状が変わりプルバックが可能に。エンジンは同時点火となり、メイフェアの4MTも62psとなった。
1996年12月:クーパーとケンジントンにヘリテイジコレクションを設定。専用ボディカラーと、コーディネイトされた本革シートを装備。

1998年1月:クーパーを元に、175/50R13タイヤ、ボディ同色ワイドスパッツ、専用サスペンションなどを装備した、ミニ・クーパー・スポーツパック・リミテッドを600台限定発売。
■ミニ・クーパー・スポーツパック・リミテッド 4MT/4AT 右ハンドル

1998年6月:コラボ商品であるポール・スミスを1500台限定発売。特別色ポール・スミス・ブルーの外装(白と黒も用意)、同インパネ、専用デザインのメーターなどに加え、エンジンヘッドカバーやトランク内にシトラスグリーンを配色。
■ミニ・ポール・スミス 4 MT/4 AT 右ハンドル

1998年8月:クーパーをベースに、1960年代のワークス・レースカーを模したストライプやエンブレム、175/50R13タイヤと専用サスペンション、グリーンの内装などを持つ、ミニ・クーパーBSCCリミテッドを750台限定発売。
■ミニ・クーパーBSCCリミテッド 4MT/4AT 右ハンドル
1999年3月:ケンジントンが販売を終了。

1999年6月:ミニ誕生40周年記念車を800台限定発売。メイフェアを元に、フォグランプや8本スポークホイール、赤または青の本革内装、ポリッシュド・アルミが貼られたフェイシアなどを採用。
■ミニ40thアニバーサリー・リミテッド 4MT/4AT 右ハンドル
1999年9月:40周年記念車の内装とクーパー・スポーツパック・リミテッドと同様の装備を組み合わせた、ミニ・クーパー40周年記念車を1000台限定発売。
■ミニ・クーパー40thアニバーサリー・リミテッド 4MT/4AT 右ハンドル
Text:中島秀之 Photo:奥村純一
Special Thanks:C. WORKS TEL:042-703-4140
TIPO 2019年7月号より転載