【趣味の中古車ガイド】シトロエン2CVが欲しい!! 【Purchase Project 02】
中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、クラシカルなスタイルと独特のメカニズム、夢のような乗り心地で人気の高いシトロエン2CVの詳細に迫ります!

【SUMMARY】
安価で経済的、実用性に富んだ上で乗り心地も良い。都市だけでなく農村でも普及するような自動車として企画・設計され、生産開始から40年以上に渡り、全世界で愛されたのがシトロエン2CVだ。試作第1号車は1937年に誕生。1939年には250台のプロトタイプが作られ、様々なテストが行われた。その後第二次世界大戦を挟み、戦後の1948年10月に市販型が発表された。
【EXTERIOR & ENGINE】クラシカルなボディと独特な空冷エンジン

プラットフォーム・シャシーの上に軽量なスチールボディを被せ、エンジン&ミッションは空冷水平対向2気筒&4速MT、サスペンションはサイドシル下に配されたコイルを前後で引っ張る関連懸架式という構造は、最初期型から最終型まで一貫していた。それ以外は細かく仕様を変更(別項参照)しながら、実に1990年(最後2年間はポルトガル工場製)まで生産が続けられた。





日本では1952年から日仏自動車により輸入が始まり、1969年からは西欧自動車とその後継の西武自動車販売により、正規輸入が行われた。現在国内の中古車市場で流通している個体のほとんどは、1980~90年頃に輸入された602ccエンジン搭載車だ。



サイドウインドーは前ドアのみ開閉が可能。巻き上げ式ではなく、下側半分が外に開く形式。左が閉じた状態。中は僅かに開けた状態で、金具によりこの位置で固定できる。右は全開状態。強く開くと固定される。
【INTERIOR & LUGGAGE】シンプルそのものだが楽しいインテリア








ラゲッジスペースは意外に広い。現車はトレイを置いているため、フラットで使いやすい。後席シートバックが新品のようだ。トレイの下にはスペアタイヤやジャッキが収納されている。
【IMPRESSION】運転そのものが楽しくて夢中になれる
おそらく十数年ぶりに2CVに乗ったと思うのだが、シートに座ったら、記憶より硬めで少し驚いた。おそらくスポンジを新しいものに交換して日が浅いからだと思うが、使い込むうちにあのふわりとした感覚になるだろう。
ダッシュボードの奥から伸びるシフトレバーは一見不思議だが、普通に操作できる。左下の一速に入れて走り出すと、独特の空冷サウンドを発しながら元気に加速する。取材日は曇り空で気温も25度以下だったため、フロントディフレクターとサイドウインドウを開けていれば、暑さを感じることなく運転できた。その後幌を開けたら寒く感じたほどだ。

各ギアの守備範囲が広いため、流れの早い幹線道路でも4速に入ることはほぼない。それぞれのギアで引っ張って走れば、加速に不満は感じられず、ブレーキも十分に効いてくれる。ノンパワーのステアリングは、タイヤが細いこともあり、僅かでも動いていれば軽く扱える。サスペンションはぐらりとロールするシトロエンらしいものだが、タイヤは常に路面に接地していて安心感があった。
現代のクルマとは運転感覚が全く異なるこの2CV。操作ひとつひとつを丁寧に行うとスムーズに走ることができ、それがとても楽しい。いつまでも運転していたくなる魔法のクルマのようだった。
【TROUBLE SHOOTING】早めのオイル交換とグリスアップを忘れずに






- 空冷なので早めのオイル交換を
排気量が小さく、高回転を強いられる上、オイルが冷却の役目も担う空冷エンジンのため、オイル交換は早めに行う必要がある。またクリアランスが大きいエンジンゆえ、硬めのオイルが必須だ。 - オイル交換と同時にグリスアップ
基本設計が古いため、左右前輪のキングピンやドライブシャフトなどにグリスアップ・ポイントがあるので、オイル交換と同時など定期的にグリスアップを行うことをお勧めする。 - 点火系スペアパーツは常備したい
点火系もやや心配な部分。ショップと相談の上、イグニッションコイルなど、スペアパーツを車に常備しておくのも良いだろう。 - 湿気は大敵! ガレージ保管が望ましい
メカニカルな部分、内外装ともに、湿度に弱いクルマでもあるので、なるべく露天は避けて屋根のある場所で保管して欲しい。
【CAR'S DATA:取材車両詳細】

CITROEN 2CV CHARLESTON(1990年式)
全長×全幅×全高:3830×1480×1600mm/ホイールベース:2400mm/車両重量:590kg/エンジン:空冷水平対向2気筒OHV/総排気量:602cc/最高出力:29ps/5750rpm/最大トルク:4.0kg-m/3500rpm/トランスミッション:4速M/T/駆動方式:FWD/サスペンション(F/R):リーディングアーム/トレーリングアーム/ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム/タイヤ(F&R):125-15/取材協力:コレツィオーネ http://www.collezione.co.jp/
【CHRONOLOGY】シトロエン2CV販売の変遷

1939年:プロトタイプのTPVを250台生産。テスト走行が行われる。
1948年10月:パリ・サロンで2CVを発表。エンジンは空冷水平対向2気筒357cc/9ps。

1949年7月:2CVの販売を開始。セダンの最初期型で名称はタイプA。
1950年10月:商用車(フルゴネット)のタイプAUを発表。1951年3月に発売。


1954年10月:425cc/12psエンジンを搭載したタイプAZを追加。また遠心クラッチ(停車時に自動的にクラッチが切れる)仕様も登場した。リアクォーターにウインカーが付き、フロントグリルの輪がなくなった。商用車にも搭載され、AZUとなった。
1956年12月:豪華仕様のAZLを追加。ボンネット中央、サイドシルなどにモールが付き、リアウインドウの面積を拡大。ストライプ柄のシートカバーも採用された。
1957年9月: 鋼板製のトランクリッドを持つタイプAZLPを追加。従来のキャンバス製トランクカバー仕様はAZLと同じリアウインドウになり、1967年まで生産される。

1958年3月:425ccエンジンをリアにも搭載し、4輪を駆動する2CV 4×4 サハラを発表。1966年まで販売。

1960年12月:マイナーチェンジを実施。ボンネットが単体で開閉できるようになり、リブが5本に減ると共に、グリルの上下幅が小さくなった。別体となったサイドパネルにはダクトが設けられた。タイプAとAZは生産を終了。
1961年7月:セダンで採用されたボンネットなどがフルゴネットにも採用される。
1961年10月:425ccエンジンが13.5psに出力を向上。
1962年3月:AZLP(セダン)ベースの商用仕様AZCを発売。
1962年9月:インパネ周辺を一新。速度計がメーターパネルに移設され、ワイパーが電動化された。
1963年2月:AZLPに代わるモデル、AZAが登場。エンジン出力が16.5psに向上し、最終減速比が速められた。

1963年3月:AZAを更に豪華にしたAZAMを追加。バンパーオーバーライダー、ホイールキャップ、ブーメラン型2本スポーク・ステアリング、ウインカーレバー、前後スライドシートなどを採用。
1963年3月:フルゴネットのリアドア・ウインドウが楕円形から大型の四角になり、サイドにもウインドウが追加された。
1963年5月:フルゴネットに積載荷重350kgのAK350を追加。リアオーバーハングが200mm延長され、ハイルーフ化され、AMI用の602cc/22psエンジンが搭載された。

1964年12月:フロントドアが前ヒンジとなり、前席にシートベルトが装着できるようになった。

1965年10月:セダンのリアクォーター部にウインドウが設けられ、6ライトとなった。フロントグリルに3本の横バーを設定。ドライブシャフトが等速ジョイント化(一部グレードはオプション)され、リア・サスペンションにテレスコピック・ダンパーが採用された。
1967年4月:輸出用モデルのAZAMエクスポートを発売。フロントフェンダーにウインカーが付き、内装ではメーターがAMI 6に似た扇形のものとなった。5か月間のみ生産。
1967年8月:フルゴネットAZUのエンジンが21psに向上。翌年5月にはAKの出力が29psになった。

1970年2月:マイナーチェンジを実施。AMI 6用の602cc/28.5psエンジンを搭載し、ギア比を変更した2CV 6と、ディアーヌ用の435cc/24psエンジンを搭載した2CV 4を用意。フロントフェンダーにウインカー、リアにウインカー一体型のテールランプを装備した。内装ではAZAMエクスポートと同じ扇型のメーターが採用され
1972年1月:電装系が12ボルトとなり、発電機がオルタネーターに変更された。

1974年9月:樹脂製の一体型フロントグリルを採用し、ヘッドライトは角形に変更。リアバンパーも大型化された。

1975年9月:フランス市場向けに、廉価モデルの2CVスぺシアルを投入。4ライトボディに丸形ヘッドライト、435ccエンジン、小さいメーターなどを採用し、内装も簡素化されていた。
1976年:ステアリングのギア比を変更。フロント・サスペンションのダンパーがテレスコピックタイプに変更された。

1976年4月:オレンジと白の2トーンカラーの特別仕様車「スポット」を1800台限定で発売。フランス国内用は435cc、輸出用は602cc。
1977年:ブレーキ回路が前後独立2系統式になった。


1978年9月:2CV 4(435cc)を廃止。2CVスぺシアルは602ccエンジンに換装され、6ライトボディの2CV 6スペシアルとなった。2CV 6(602cc)はツインチョークキャブレターを装備して29psに戻り(1975年から26ps)、2CV 6クラブにグレード名を変更した。

1980年10月:2CV 6クラブをベースに、2トーンカラーや丸形ライトなどを採用したレトロな「2CV チャールストン」を8000台限定発売。好評なため、1981年7月からレギュラーモデルになった。3種類のカラーパターンを用意。

1980年10月:映画「007 ユアアイズオンリー」で活躍したものと同じミモザイエローの「2CV-007」を1000台限定発売。ベースは2CV 6クラブ。
1981年:フロントブレーキがディスクに変更された。

1983年4月:ヨットのアメリカズカップでフランスが活躍したことを記念した特別仕様車「2CV フランス3」を2000台限定発売。青と白の2トーンカラー。

1985年3月:ミュージカル「ハロー・ドーリー!」に因んだ2トーンカラーの特別仕様車「2CV ドーリー」をまず3000台発売。同年10月に2000台、1986年4月に2000台それぞれ発売。全部で7種類のカラーパターンがあった。

1986年10月:サッカーワールドカップ・メキシコ大会出場を記念した特別仕様車「2CV ココリコ」を1000台限定発売。白いボディにグラデーション塗装。
1988年2月:フランスでの生産を終了。ポルトガル工場で継続生産される。
1990年7月:ポルトガル工場での生産が終わり、41年にわたる歴史が終了した。
【TOPICS 1】2CVベースの派生モデル
1961~78年に生産されたアミは、2CVの上級仕様。1967~83年に作られたディアーヌは、2CVの後継だったが先に姿を消した。イギリス工場の独自モデル、ビジューは1960~64年に200台程作られた。多目的車メアリは1968~88年に生産。4WDもあった。




【TOPICS 2】商用モデルまで魅力的
1950年に発表された商用車のフルゴネットは、セダンと同様に進化を続けていった。425ccの標準型とハイルーフでリアの長い602ccエンジン仕様があり、125万台も生産された。1978年にアカディアーヌに世代交代した。


【TOPICS 3】あの高級ブランドも魅了
2008年に誕生60周年を記念して、あのエルメスが仕立てた2CVが1台だけ作られた。この2CVエルメスは、内装をブラウンとベージュの最高級の革で仕上げ、外装も同系色でコーディネイトされるなど細部まで拘りが詰まった1台だ。


Text:中島秀之 Photo:山本佳吾
Special Thanks:コレツィオーネ http://www.collezione.co.jp/
TIPO 2024年12月号より転載