【趣味の中古車ガイド】アルファ・ロメオ・ジュリア・クーペが欲しい!!【Purchase Project 07】
中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、アルファロメオを代表するモデルで、今も多くの人を魅了してやまないジュリア・クーペの詳細に迫ります。

【SUMMARY】
アルファロメオ・ジュリア・シリーズ(105系)は、1962年にまずセダンが登場。当初クーペはジュリエッタ・スプリント(101系)に1.6リッター・エンジンを搭載したものだったが、1963年に新型が誕生する。
それがジュリア・スプリントGTで、基本的なメカニズムは先代を踏襲。即ち、モノコックシャシーに前ダブルウイッシュボーン、後トレーリングリンク+T字ブラケットのサスペンションを装着し、ベルトーネ(実際はジウジアーロ)・デザインの美しいボディを与えたものだ。小さな段のあるノーズの処理が特徴だった。エンジンは直4DOHC1570cc+ツインキャブで106psを発揮。5速MTと4輪ディスクブレーキも装備された。
1965年にオープントップのジュリアGTC、1966年に109psの発展型ジュリア・スプリントGTヴェローチェ(GTV)と、1290ccエンジンのGT1300ジュニアが登場した。
1968年に、1779cc/118psエンジンを搭載し、異径4灯ライトと段のないノーズを持つ1750GTVが誕生。1971年には1962cc/132psエンジンを持つ2000GTVに進化した。一方1.3リッター仕様は段付きのまま継続されたが、1971年に段なしノーズ&2灯ライトに変更。1972年に1.6リッター・エンジンの1600GTジュニアが登場し、一時1.3リッターは生産を休止するが、1974年から2000GTVと同じボディで3種の排気量が用意された。1976年に生産を終了している。
【EXTERIOR & ENGINE】 ジウジアーロの生んだ傑作クーペボディ
【INTERIOR & LUGGAGE】 1960年代生まれらしいスポーティでお洒落な内装

【IMPRESSION】 素晴らしいコンディションの個体でジュリアの良さを堪能

今回お借りしたのは、1971年式の1300GTジュニア。先々代オーナーがお金をかけてレストアした個体のようで、内外装とも驚くほど美しい状態に保たれている。新車で日本に輸入された1台で、当時輸入元の伊藤忠オートは右ハンドルを多く導入していたが、この個体は左ハンドルだ。またエンジンは新車時に搭載されていた1 .3リッターのままで、非常に貴重な車両と言える。
お尻が上手く収まって、腰の両側も巧みに支えてくれる絶妙なシートに座り、ヘリボーレのウッドステアリングを握り、やや重めのペダルを操作して走り出す。エンジンは排気量が小さいためか低速トルクが薄く、ややあおり気味にしないと発進が難しい。ただ走り出してしまえば、くぐもったサウンドを発しながら5000rpm まで一気に吹け上がる。各ギアのつながりも良く、街中でも「走ってる感」が強烈で実に楽しい。もっとも絶対速度は速いわけではないが。
さらに驚いたのは、足周りがすばらしくシャキッとしていることだ。おそらくスプリングやダンパーだけでなく、アームやブッシュ類を全て交換し、初期化しているのだろうが、「新車時もかくや!」と思えるほど、良いコンディションだった。乗り心地が凄く良いのに、グニャッとした感じが一切ない。これならワインディングも楽しいだろう。
ジュリアはこれまで何台か取材で乗ったことがあるが、今回の個体は個人的にベストに思えた。このクルマならロングランでも安心だろうし、ヒストリックカー初心者にもお勧めできる。


【TROUBLE SHOOTING】
- ボディの錆は修復可能だが注意は必要
かつては錆びて当たり前と言われたジュリア・クーペだが、現存している車両はある程度対策されている場合が多い。よほど酷くない限り、ボディパネルを含めた新品パーツが入手可能なので、修理は可能だ。またかつて見られた、錆だらけのボディに塗装だけ施したような粗悪な個体はほぼ見かけなくなった。それでも購入時には注意が必要で、経験豊富なショップから買うのが得策だろう。 - 配線類は劣化していたら即交換
電装系の配線は、長い車歴の中で、素人仕事で行われている場合もあり、最悪の場合発火することもある。各種ハーネス類やヒューズ類も同様だが、見た目で明らかに劣化していたら交換したい。
一方エンジンやミッションは基本的に丈夫なクルマだそうだ。足周りも同様に丈夫だが、ブッシュ類などは劣化すると操縦性が悪化するので、気になる場合はショップと相談の上、交換をお勧めする。
【CAR'S DATA:取材車両詳細】

ALFA ROMEO 1300GT JUNIOR(1971年式)
全長×全幅×全高:4080×1580×1328 mm/ホイールベース:2350 mm/車両重量:990 kg/エンジン:直列4 気筒DOHC/総排気量:1290 cc/最高出力:89 ps/5500 rpm/最大トルク:12 .3 kg-m/3000 rpm/サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/トレーリングリンク/ブレーキ(F&R):ディスク/タイヤ(F&R):155 SR15/取材協力:ガレーヂ伊太利屋 http://garage-italya.co.jp/
【CHRONOLOGY】アルファ・ロメオ・ジュリア・クーペ(GTA系&スペチアーレを除く)販売の変遷
GIULIA SPRINT GT
1963年9月:前年デビューしたベルリーナのジュリアに続き、クーペボディのジュリア・スプリントGTがアレーゼ工場で発表される。エンジンは直4DOHC1570ccで106ps。段付きノーズで、グリルは10本の横桟タイプ。インパネはブラック一色。15インチホイール。
■ジュリア・スプリントGT 1570cc/106ps 車重950kg

1965年3月:ジュネーブショーで、ジュリア・スプリントGTをベースにオープントップに仕立てた、ジュリアGTCを発表。カロッツェリア・トゥーリングが架装を担当。1966年までに1000台程のみ生産。
■ジュリアGTC 1570cc/106ps 車重1040kg

1966年3月:ジュネーブショーで、ジュリア・スプリントGTヴェローチェが発表される。エンジンは1570ccのまま、インテークバルブの径を2㎜拡大、キャブレターのセッティングを変更し、109psとなった。フロントグリルは格子の上に3本の横バーが入るタイプとなり、インパネにはウッドパネルが貼られた。
■ジュリア・スプリントGT ヴェローチェ 1570 cc/109 ps 車重1020 kg

1963年9月:直4DOHC1290ccで89psを発揮するエンジンを搭載した、GT1300ジュニアがバロッコ・テストトラックで発表される。エンジン以外は基本的にジュリア・スプリントGTVと同じだが、グリルは格子の上に横一本バーとなり、ステアリングは樹脂製となって、内装のトリムがモケットからビニールになるなど、コストダウンと軽量化が図られた。
■GT1300ジュニア 1290cc/89ps 車重930kg

1968年1月:ブリュッセル・ショーで、1750GTV(ヴェローチェ)が発表される。エンジンは排気量を1779 cc に拡大し、118psとなった(北米仕様はインジェクション装備)。またエアクリーナーの位置が変更され、カムカバーの上を横切るパイプがなくなった。外観はノーズに段がなくなり、アルファの盾は天地が小さく幅が広い形状となった。ヘッドライトは異径4 灯となり、ウインカーの位置も変更。グリルは黒字に横一本バーとなった。内装ではインパネが大きな2 眼式メーターを持つ形状に変更。ホイールは14インチとなった。
■1750GTV 1779cc/118ps 1040kg
1969年6月:トリノショーで、1750 GTVの小変更が発表された。バンパーがオーバーライダー付となり、フロントウインカーのポジション灯の位置が変わった。またシートも再度変更された。
GT 1300 JUNIOR (1969)
1969年6月:旧ボディのまま生産されている1300GTジュニアのインパネが、1750 GTVと同じ2 眼式メーター・タイプに変更された。センターコンソールはなく、吊り下げ式メーターを採用。車重は990kgになった。

2000 GTV
1971年6月:トリノショーで、1750GTVの後継2000GTVが発表された。エンジンは排気量を1962 ccまで拡大し、132 psになった(北米仕様はインジェクション装備)。外観では、フロントグリルが、アルファの盾ごと8 本のバーに覆われたものになり、テールランプが横長の大きなものとなった。内装では、インパネが2つのメーターの間に小径メーターやインジケーターが挟まる形状となり、全体のデザインも変更。フロントシートはヘッドレストが標準となった。
■2000GTV 1962cc/132ps 1040kg
1971年6月:旧ボディのままだったGT1300ジュニアが、ノーズに段のないボディとなった。ヘッドライトは2 灯で、アルファの盾が残るグリルには、横一本バーが入る。テールランプは1750 GTVと同じタイプ、バンパーにオーバーライダーはつかない。車重990 kgに増大。
■1300GTジュニア 1290cc/89ps 車重990kg
1972年6月:1300GTジュニアのボディと装備に、1570cc/106psエンジンを搭載した1600GTジュニアが発表された。これに伴い1300 GTジュニアは一時廃止となる。
■1600GTジュニア 1570cc/ 106ps 1020kg
1974年6月:2000GTVと同じフロントグリル、テールランプ、インパネを持つ、最終型の1600 GTジュニアが登場し、同じ内容を持つ1300GTジュニアが復活した。装備は一部簡素化され、バンパーにオーバーライダーはつかない。
1976年:ジュリア・クーペ・シリーズの生産を終了。
【TOPICS 1】様々なスペチアーレ・モデルが誕生
ジュリアと名が付くモデルは、101系と105 系を合わせると14年にわたり生産された。このためバリエーションも多く、クーペ以外にはセダン、ワゴン、スパイダーなどがあった。一方ジュリアをベースとした少量生産のいわゆるスペチアーレも数多く作られた。レース専用車もあれば、ロードカーもあるが、メーカー本体より、カロッツェリアが開発生産したものが多かった。そうしたジュリア・ベースのスペチアーレをご紹介しよう。





【TOPICS 2】 ホモロゲモデルのGTAは別格
ジュリア・クーペ系で最もホットなのが、レース用ホモロゲーション・モデルだった、ジュリア・スプリントGTA。フルアルミボディ、1.6リッターのツインプラグ・エンジン、専用リアサスペンションなどを持つ。1965年に発され、少数ながらロードカーも販売された。また1968年には1.3リッターエンジンのGTA1300ジュニアも誕生。1973年まで生産された。どちらも様々なツーリングカーレースで好成績を数多く残している。また1970~71年には、前後に巨大なオーバーフェンダーを装着し、各部をFRPで軽量化したスチールボディを持つレース専用モデルの1750/2000GTAmが40台ほど生産された。



Text:中島秀之 Photo:奥村純一/山本佳吾&宮越孝政(GIULIA SPRINT GT)/佐藤靖彦(GS QR)
Special Thanks:ガレーヂ伊太利屋 http://garage-italya.co.jp/
TIPO 2020年1月号より転載