【趣味の中古車ガイド】ルノー4が欲しい!! 【Purchase Project 05】

【趣味の中古車ガイド】ルノー4が欲しい!! 【Purchase Project 05】

中古車として人気の高いモデルの概要、ヒストリー、バリエーション、トラブルシューティング、インプレッションなどを紹介するティーポの人気連載【Purchase Project】から、懐かしいTVドラマで人気となった、クラシカルでかわいいスタイルのルノー4の詳細に迫ります!

5ドアワゴン風のボディは、前傾姿勢がデフォルト。サイドウインドーは前後共スライド開閉式、テールゲートは上ヒンジで一枚開き。GTLには樹脂製サイドプロテクターが備わる。

【SUMMARY】
1950年代に大衆車として成功した4CVの後継として、1961年秋に正式発表されたルノー4。小さな車体に広い車内と荷室を確保するべく、駆動はFFを選択し、RRだった4CVのパワートレーンをそのままフロントに搭載した。サスペンションは前ダブルウイッシュボーン、後トレーリングアームで、リアは横置きトーションバーを長くとったため、左右でホイールベースが異なっていた。
 エンジンは直4OHVで、当初603㏄の廉価版R3と747㏄のR4、R4L、商用車のフルゴネットを用意。その後R3は廃止され、豪華仕様などを追加。845㏄仕様も用意された。
 1963年9月にバンパーが鋼板製になるなどマイナーチェンジを実施。2年後にはグレード体系を一新した。更に1965年秋には、ライト内蔵の横長グリルを持つ中期型になり、ミッションが3速から4速に進化した。
 1971年秋にベースエンジンが782㏄となり、1975年にはフルゴネットにロングタイプのF6を追加。そしてこの年秋に、新デザインの樹脂製グリルを採用した後期型が登場。更に1978年には、1108㏄エンジンを搭載するGTLが追加された。
 日本には1978年からキャピタル企業を通じ正規輸入されたが、1986年以降は並行輸入のみとなった。
 その後各部を改良し、特別仕様車も数多く登場。1986年に956㏄エンジンを新採用。この年本国での生産は終了し、スペイン生産も1992年に終了。1994年で全生産を終えた。

【EXTERIOR & ENGINE】実用的なワゴンボディと軽快なエンジン

この個体は、シビエのヘッドライトにイエローバルブを装着している。下はスモールとウインカーのコンビ。
クラシカルなテールランプは上からスモール&ブレーキ、ウインカー、リフレクターの順。バックランプはバンパー下。
3穴の純正スチールホイールに、135/80R13 サイズのミシュランを履く。この細さのお陰で、パワーアシストがなくてもステアリングは重くない。
34psを発揮する直4OHV1108ccエンジンは縦置きされ、ミッションはその前にある。車体中央を通るパイプはシフトリンケージ。

【INTERIOR & LUGGAGE】 シンプルの極みなれど居るだけで楽しくなる

インパネは樹脂製で、左右にトレイがあり、中央に時計や灰皿が備わる。大径のステアリングは、右手を置く位置が、シフトレバーのすぐ横となる。現車はクーラー&ステレオ付。
メーターは速度計(Veglia 製)のみで、速度表記の内側に各ギアで引っ張った時のシフトの目安が書かれている。右側は燃料系と各種警告灯類。
シフトレバーはインパネから生えており、手首を捻るようにして操作する。シフトパダーンは通常の4速で、慣れれば問題なく動かせる。
前席は、ボディサイズを考えれば十分以上に大きく、全体にソフトなこともあり座り心地が良い。かわいいチェック柄は純正のもの。
後席はヘッドレストこそないものの、頭上、足元共に余裕があり、大人2 人なら快適に座れる。この時代にして3 点式ベルトも備わる。

【IMPRESSION】不思議なシフトを操ること自体が楽しい
今回お借りしたのは、1990 年式のR4 GTL キャンバストップ。フロントシートは、車格の割にはゆったり目のサイズで、全体に柔らかいこともあって快適だ。
 ダッシュパネルから生えるシフトレバーを、手首を使って動かしスタートさせる。エンジンは軽快に吹けるが、ギア比が高く、街中だと4 速にはなかなか入らないほど。ステアリングはノンパワーだが、タイヤが細いため低速でも大きな力は必要ない。もちろんペダル類も軽いので、独特なシフトレバーに慣れてしまえば、普通に運転できる。感心したのは直進性がいいことで、流れの速い幹線道路でも軽く手をステアリングに添えているだけでOK だ。またブレーキも、GTL のほとんどがフロントディスク・ブレーキを装着しており、僅か700 kg 程の車重ゆえ、全く不安を感じなかった。
 足周りは、2 CV ほどフワフワした感じはしないものの、それでも十分ソフトで、しかもストローク感がたっぷりあるから、実に気持ちいい。ついつい、ちょっとハイペースで走るのも楽しそうだなと、思ってしまった。
 もちろん現代の感覚からすれば、ボディはユルいし、安全装備はほとんどないし、騒音もかなり大きいから、決して快適とは言えない。だがこの圧倒的なまでのかわいさと存在感は、何者にも代えがたい。意外なほど運転がしやすく、楽しいのも魅力的だ。しかも、程度の良い個体を入手できれば、今後価格が下がることはまずないだろう。

【TROUBLE SHOOTING】

  1. 油脂類や消耗品はマメに交換した方が安心
    基本設計が1950 年代に遡るR4 は、例え1990 年代製のモデルでも、トラブルと無縁とはいかない。ただし元々の構造がシンプルなため、油脂類や消耗品をマメにチェックして交換していれば、大きなトラブルに悩まされることは少ないとのことだ。
     エンジンオイルは硬めの鉱物油が適しているそう。またシート生地は、ファブリック部分が擦り切れやすいようなので、注意が必要だ。
  2. 電気系は怪しいと思ったらリペアを
    生産から30年前後は経っているため、特に電気系には注意したい。経年劣化によりオルタネータが寿命を迎えたり、ヒューズボックスが接触不良を起こしたりといったことは起こり得る。またクーラーが装着された個体もあるが、他の部分に大きな負荷をかける可能性もある。
     いずれにしても、こうしたクルマの経験が豊富なショップでメンテナンスをしてもらうのが、最善の策だろう。

【CAR'S DATA:取材車両詳細】

RENAULT 4 GTL (1990年式)
全長×全幅×全高:3690×1510×1530 mm/ホイールベース:L2400 /R2450 mm/車両重量:700 kg/エンジン:水冷直列4 気筒OHV/総排気量:1108 cc/最高出力:34 ps/4000 rpm/最大トルク:7 .5 kg-m/2500 rpm/サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/トレーリングアーム/ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム/タイヤ(F&R):135 SR13/取材協力:コレツィオーネ http://www.collezione.co.jp/

【CHRONOLOGY】ルノー4 販売の変遷

R3 1961
R4L 1961
R4 FOURGONNETTE 1961

1961年10月:ルノー4を正式発表。廉価版のR3、標準車のR4、6ライトウインドウで装備が充実したR4 L の3グレードに、車体後部を一段高い荷室とした商用車フルゴネットを加えた4タイプ。エンジンはR3 のみ直4OHV603cc/22.5psで、R4は同747 cc/26 .5ps、ミッションはいずれも3速MT(1速ノンシンクロ)だった。

R4 SUPER CONFORT 1962

1962年3月:R4Lに下ヒンジのテールゲートなどを備え、747 ccエンジンを32psとした豪華版R4シュペールコンフォールを追加。
1962年:ルノーと密接な関係にあるコーチビルダー、サンパール社が開発・生産する4 WDモデル、R4SINPAR 4×4を発売。

R4L SUPER 1962

1962年9月:R3が生産終了となり、R4シュペールコンフォールに代わる最上級車R4L シュペール(当初輸出専用)が登場。ドーフィン用直4OHV 845cc/32psエンジンを搭載。

R4L PARISIENNE 1963

1963年3月:R4Lをベースに、女性雑誌ELLEとの共同開発により誕生した、パリジェンヌが登場。籐を模した模様かチェックの柄が入ったカラーリングや特別内装を装備。

R4L SUPER 1964MY
R4 FOURGONNETTE BREAK 1964MY

1963年9月:1964年モデルを発表。初のマイナーチェンジを行い、バンパーがバータイプから鋼板製になる。ミッションは3速のままフルシンクロ化。R4L、R4Lシュペールはリアサイドウインドウもスライド開閉式となる。またフルゴネットに後席とサイドウインドウを設けたブレーク仕様を追加。

R4 EXPORT 1966MY

1965年9月:1966年モデルを発表。グレード体系を一新。ルノー4ルクス、ルノー4エクスポート、ルノー4パリジェンヌの3種となる。またエクスポートとパリジェンヌは845ccエンジンがオプションに。

R4 1968MY

1967年9月:1968年モデルを発表。フロントグリルをヘッドライト一体型に変更。ミッションがフルシンクロの4速MTとなり、パリジェンヌは1968年モデルで生産を終了した。

R4 PLEIN AIR 1968

1968年6月:ルノーと密接な関係にあるコーチビルダーのサンパール社が改造と生産を担当した、ドアのないオープントップモデルのプレ・ネールを発売。
1970年:電装系が6Vから12Vに変更された。

R4 1972MY

1971年9月:1972年モデルを発表。ベーシックエンジンが782cc/30psとなる。

R4 FOURGONNETTE F6 1975

1975年6月:フルゴネットに、全長を8㎝延長したF6と呼ばれるタイプを追加。エンジンはR4GTL登場に先立ち、直4OHV1108cc/34psを搭載する。

R4TL、R4 SAFARI、R4L 1976MY

1975年10月:1976年モデルを発表。フロントグリルが樹脂製の黒いものとなり、各部を改良。装備の違いにより、4L、4TLと、バンパーなどを黒塗装とし、派手な内装を与えた若者向けのサファリの3タイプに。プレ・ネールは廃止。ミッションはR6用に変更。
1977年10月:東京モーターショーにキャピタル企業がサファリを参考出品。その後正規輸入を開始。サファリの後、TL、GTLを輸入。またフルゴネットも各種輸入された。

R4 GTL 1978

1978年1月:直4OHV1108cc/34PSエンジンを搭載し、グレーのオーバーライダー付バンパーやサイドモールを備えたGTL(15)を新設定。サファリは廃止。

R4 PICK UP

1978年7月:フルゴネットF6をベースにリアを荷台にしたピックアップを発売。

R4 JOGGING 1981

1981年5月:GTLをベースに、ストライプなどで装飾したジョギングを5000台限定発売。
1982年:インストゥルメントパネルを変更。
1983年:フロントディスクブレーキをGTLに用意。845ccエンジンが34psとなる。

R4 SIXTIES 1985

1985年3月;GTLベースの特別仕様車シックスティーズを2200台限定発売。
1986年:TLの845ccエンジンが直4OHV956cc/34psに変更される。

R4 GTL CLAN 1986

1986年5月:GTLの装備を豪華にしたGTLクランを発売。

R4 TL SAVANE 1986

1986年:TLをベースに、独自の内外装を与えたTLサバーヌを発売。
1986年:フランス本国での生産を終了。スペイン工場で生産を継続。
1986年12月:日本のキャピタル企業がルノーの輸入権を返上。以後ルノー4は並行輸入される。

R4 CARTE JEUNE 1992

1992年:TLサバーヌをベースに独自の内外装カラーを与えた若者向けカルト・ジューヌを発売。

R4 GTL CLAN BYE BYE 1992

1992年:GTLクランをベースとした最終限定車バイバイを1000台限定発売。インパネにシリアルナンバー入り。
1992年12月:R4の生産終了を発表。1994年まで、モロッコとスロベニアで生産を継続。

【MODIFY POINT】中期型と後期型は顔が交換可能
 取材した個体は、フロントグリルを中期型のものに交換していた。本来後期型は、ヘッドライト横部分を四角くした樹脂製のグリルなのだが、金属製でサイドが丸い中期型用グリルに、僅かな改造で装着できるため、モディファイされているクルマも多い。確かにクラシカルさが増して、かわいく見える。ただし後期型はウインカーの形状が異なるのと、GTLにはバンパー補強用のバーが備わるので、見分けることは可能だ。

取材車両のフロント部分。状態の良い中期型用メッシュグリルが備わり、イエローバルブ・ヘッドライトとの相性も抜群だ。ロサンジュは旧いタイプ。
1967~75年に生産された中期型がこれ。一見全く同じだが、ウインカーが丸いので識別できる。
本来後期型R4GTLはこのグリル。基本的にグレーの樹脂製で中央にこの時代のロサンジュが付く。

【TOPICS】国際ラリーでも活躍を見せた!
 ルノー4 はデビュー間もない時期に、プロモーションのため、様々なラリーに参戦している。当初から、小排気量ながら無類のタフネスを発揮し、名だたる過酷なラリーで完走を果たしいる。例えば1962 年のイーストアフリカン・サファリ・ラリーでは、2 台の4 L が参戦し41位と45 位で完走。1962 年と63 年のモンテカルロ・ラリーにも参戦している。これ以外にも1963年のシドニー- パリなど、様々なラリーに出場し活躍した。

1962 年のサファリラリー出場車のレプリカ。
1963 年モンテカルロ・ラリー出場車のレプリカ。

Text:中島秀之  Photo:山本佳吾 
Special Thanks:コレツィオーネ http://www.collezione.co.jp/
TIPO 2019年2月号より転載