【モデルカーズ】スーパーカーの名車カウンタックで表現したモデルカーの新たなカタチ
世に名車は多かれど、モデルカー化された機会の多さをそのバロメーターとした場合、単一車種でフォルクスワーゲン タイプ1やタイプ2あたりとワンツーを争いそうなのが、イタリアが誇るスーパーカー中のスーパーカー、「カウンタック」をおいて他にないのではなかろうか。話を日本に限ればスカイラインやフェアレディZあたりも相当な数ではあるが。あくまでグローバルにおける話である。

ランボルギーニ・カウンタックがモデルカーにされる機会が多いのは、実車の造形があまりにセンセーショナルであり、それに性能が伴っていたのが理由であろうことは疑う余地もないが、加えて、あまりに個性的なモチーフゆえにミニチュアの原型が作りやすかったこともあるかもしれない。カウンタックをモチーフにして、カウンタックに見えないモデルカーを製造するのは逆に難しく、それなりの意匠を拾っておけば、よほどのことがない限り、カウンタックに見えてしまうわけで……。また造形自体はいたって単純なので、原型も生産用の金型もそれほど凝った作りにしなくても済む。
というのは、あくまでモデルカーに関する昔話で、現在は世界中のメーカーが好き勝手にカウンタックをモデルカー化して売ることはライセンスの面でNG。すべて一度ランボルギーニにお伺いを立てて、然るべきロイヤリティ(これが結構高額なことがモデルカーメーカーにとっての頭痛のタネでもある)を納めて初めて売ることができる。また、一度試作品を提出して、ランボルギーニの監修を受けることも必須で、“取り敢えずカウンタックに見える”程度のものは、ここでまた出直しを要求される。簡単に言えば厳しいのだ。そして立派なビジネスである。このあたりのいわゆる版権管理はフェラーリ、ポルシェなどはさらに厳しいのは想像に難くないだろう。

ということでここにお見せするのは、おそらく世界でも最新の部類に属するであろう、ランボルギーニ・カウンタックLP400のモデルカー、日本のメイクアップ製である。メイクアップはランボルギーニと正式にライセンス契約を結んでおり、場合によっては実車の設計データを同社から譲り受けて、最新のランボルギーニ車を実車の日本上陸を待たずに製品化することもある。要するに、きっちりとした機密保持なども含めて、ランボルギーニ社のお墨付きを与えられているメーカーなのだ。
メイクアップのモデルカーは観賞が目的で、転がして遊ぶわけでもなければ、ドアやエンジンフードが開閉するわけでもない。とにかくじっくりと眺めて愉しむものなのである。ただ鑑賞させることだけが目的なので、その表現方法やマテリアルの選定は凝りに凝っている。ボディ自体はレジン製だが、ウィンドウ表現用の塩ビ系透明樹脂、窓枠やエンブレムなどのステンレス製エッチングパーツ、ホイールや灯火類に用いるメッキ処理されたホワイトメタル、さらに場合によっては削り出して真円性に優れたアルミ製ホイールリムなどを仕様。カラーリングは塗装とデカールを併用、一部印刷を用いることもある。
今回のカウンタックに関しては、世にほとんど見られない、リトラクタブル式ヘッドライトを開けた状態のみを再現したもの。開閉はしないが、その分、ライト開けた時の表情、つまりヘッドライトのディテールは徹底的に実車をトレースしている。ライトの径にはじまり、その枠のメッキ部分、筐体の塗り分けなど、1/43のサイズで開閉ギミックを仕込むと表現が難しくなる部分も抜かりなく再現されているのだ。


子どもの頃にスーパーカーブームを体験された方ならば、カウンタックがライトを開ける瞬間を想像しただけでもワクワクし、今ほど映像が簡単に見られなかった当時は、「いったいどうやってライトが出現するんだろう?」などと疑問に思ったり、「隠しライト」などといった呼び方で、ただただ憧れた記憶が蘇ってくることだろう。
1台35,200円(税込)と結構なお値段だが、実物を手にすればモデルカー門外漢でも思わず納得の出来栄え。デスクに1台置いて眺めれば、それはまさに走馬灯の如し。スーパーカーブームの時代にタイムトリップしてみてはいかがだろうか。
Lamborghini Countach LP400 1974 Head lamp open
■メイクアップ商品ページ https://makeupcoltd.co.jp/products/detail/1843

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