[ナカジ~のティーポ的コラム02]20年前のスズキ・アルトで1300kmの取材旅へ
現在発売中のティーポ4月号(405号)の巻頭特集取材のために、東京から神戸と岐阜にクルマで往復した際のこと。取材日は2月上旬で、数日前に東京でも雪が降ったため、積雪の心配のある岐阜方面に行くこともあり、スタッドレスタイヤを履いたクルマがいいだろうということで、奥村カメラマンが最近足として使っている20年程前のスズキ・アルトで行くことにしたのです。
数日前の雪の日にもこのアルトで千葉まで取材に行っていたので、「まぁ大丈夫だろう」と思ってはいましたが、往復で1300km程を2日半で移動、それも中古ならぬ大古車に近い軽自動車でというのは、さすがに少し不安でもありました。
奥村さんのアルトは、2004年から2009年に作られた6代目モデルで、54psの660cc直3DOHC NAエンジンを搭載するFFの5速MT仕様でした。
はい、ここでティーポ読者の皆さん、アルトが今何代目モデルかおわかりでしょうか? 普段から軽自動車にお乗りの方ならご存知でしょうが、私も含めて「あんまり興味がないからわからない」という方が多いのではないでしょうか?
実はロングセラーのアルトは、1979年発売の初代(47万円の!)から数えて、現在は2021年登場の9代目が販売されています。






上左:1979年登場の初代、上中:2004年登場の6代目、上右:2009年登場の7代目、下左:2014年登場の8代目、下中:8代目に2015年に追加されたワークス、下右:2021年に登場し2025年に小変更した9代目。
これまで何回かアルトは運転した記憶がありますが、一番新しいモデルは、先代の8代目に15年ぶりに設定されたアルト・ワークス(64ps/FF/5MT)を、ティーポ2016年7月号で紹介した際に都内で走らせました。ですから今回は10年ぶりのアルト、しかも10年前に乗ったアルト・ワークスよりさらに二世代前の、ごくフツーのグレードなのです。


Tipo 2016年7月号。編集部員3人が好きなMTハッチバック車を持ち寄る企画で、アルト・ワークスが登場。
ちなみに現行9代目アルトは、ワークスが再び廃止された上、全車CVT仕様で、MTモデルはラインアップされていません。
さて今回の取材で出動した6代目アルト、奥村さんと交代で高速道路を結構な距離運転しましたが、ちょっとびっくりするほど、きちんと走ってくれました。僅か54psと6.2kg-mを発揮するに過ぎないエンジンですが、車重は700kg台と軽量なので、新東名の120km/h区間でも普通に速い流れに乗っていけます。登り坂が長く続いたり、勾配が急だったりするとさすがに速度が落ちましたが、ギアを4速、時に3速まで落として全開にすれば、なんとか後続車に追いつかれずにすみました。この辺りは当時の3ATでは難しかったでしょうから、5MTならではの良さと言えるでしょう。
一番驚いたのは直進安定性の高さです。スタッドレスタイヤ(しかも5シーズン目くらい?)にも関わらず、あのトレッドの狭い車体をひたすらまっすぐ走らせ続けるのです。軽自動車で長距離を走るような使い方をする方は少ないでしょうが、誰でも安心して運転できるように、ハンドリングのクイックさを多少犠牲にしても、わざとこうした味付けにしているのでしょう。
一方で印象が悪かったのはシートです。動き出して数十kmでもうお尻の辺りが痛くなり、サポート性が悪いことから腰もかなり痛くなりました。これはコストがかけられないこともあるでしょうが、「長時間運転しないのが前提」という軽自動車ならではの「見切り」のようなものかもしれません。
ただそれ以外は、ボディ剛性に不安もなかったですし、車内の静粛性もまずまずでしたから、大きな不満は感じませんでした。
結局岐阜からの帰路は、普段自分のシトロエンC5で走るのと同じか、早いくらいの所要時間で東京に帰ることができました。改めて日本独自の軽自動車、それも20年も前のモデルの完成度の高さに感激させられた形です。最新型ならもっと良くできているのかもしれませんが、「もうこれで十分じゃん!」と思ったのも事実。じゃあ「欲しいか?」と言われたら、欲しくはないかなぁ。だってデザインが洒落ていないんだもの……。
そうそう、結局往復とも道路に雪はまったくなく、アルトで行った意味はなかったんですけどね!

ティーポ405号 2026年4月号
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