【ティーポ310】改めてロータスの進化が感じられるエミーラの味わい深さ【試乗インプレッション】

【ティーポ310】改めてロータスの進化が感じられるエミーラの味わい深さ【試乗インプレッション】

LOTUS EMIRA
Type131ことロータス・エミーラは、エリーゼ/エキシージ/エヴォーラの流れを汲む後継モデルとして、アルミ押出材によるバスタブシャシーを採用し、2021年にワールドプレミアされた。日本導入は2023年からとなる。
パワートレーンは、トヨタ製3.5リッターV6スーパーチャージャーと、AMG製2リッター直4ターボの2種類を設定。前者には6速マニュアルとトルコンAT、後者には8速DCTのみの組み合わせとなる。そしてこのエミーラは、ロータス70余年の歴史において「最後の内燃機関モデル」として登場したことでも注目を集めた。
現在ロータスは、スポーツモデルをイギリスで、それ以外のSUVやセダンといったライフスタイルモデルを中国で生産している。ジーリーグループ傘下となって以降、2019年には創立80周年へ向けた中長期計画「VISION80」を発表。その象徴としてハイパースポーツEVのエヴァイヤを送り出し、EVフルラインナップ構想を掲げた。しかし近年は世界的なEV需要の伸び悩みもあり、計画の見直しが進められているのが実情だ。

そうした背景もあり、日本市場でもここ数年はエレトレやエメヤが主軸だった流れから、再びエミーラへとフォーカスが戻りつつある。デビューから5年を迎えるが、まったく色褪せないデザインは見事の一言だ。エミーラの変遷を軽く紹介すると、V6が最初にローンチされ、続いて直4がデビューした。さらに直4には、高出力仕様のSEが追加。2026年モデルで初の仕様変更が施され、新たにADASが搭載された。見た目の変更はホイールのデザイン程度とごくわずかだ。
日本国内では、これまでに約600台が販売されたという。価格帯の上昇やディーラーネットワークの刷新もあり、エリーゼ/エキシージ時代ほどの勢いには至っていないが、改めてその魅力を伝えるべく、今回メディア向けの試乗会が開催された。
試乗会は横浜・みなとみらい。これまでの“走りのロータス”というイメージを覆すように、あえて街中での試乗が設定されたのは、エミーラの純粋なスポーツ性能に加え、日常での使いやすさを感じてもらう狙いもあったのだろう。

V6と直4の判別ポイントはエンジンルームだけ。エクステリアは両グレード共通だ。

実際に乗り込んでみると、その進化は明確だ。幅広いサイドシルは上部と前方がカットされ、乗降性は大幅に改善。シートはクッション性が高まり、電動式となって微妙な調整も可能となった。インテリアには大型ディスプレイが備わり、装備も充実。かつてのような“割り切り”ではなく、明らかに日常との親和性が高められている。
スタートボタンを押すと、背後からエンジンが目覚める。まず試したのはAMG製2リッター直4ターボ。サウンドは控えめで、街中では実に扱いやすい。365ps(SEは400ps)というスペックながら、日常域では穏やかで、踏み込めば一気にスポーツカーらしい加速を見せる。
対するV6は、3.5リッターの排気量にスーパーチャージャーを組み合わせた力強さが際立つ。出足からトルクが厚く、サウンドも豊か。体感的な速さはむしろこちらが上だ。さらに6速マニュアルを選べるのはV6のみで、ドライビングの“操作する楽しさ”を求めるならこちらに軍配が上がる。

V6と直4ではリアのサブフレーム形状が異なるのと共に、サスペンションアームの形状も違う。

興味深いのはコーナリングの違いだ。V6はややロールを伴いながら踏ん張る印象に対し、直4は軽やかでシャープ。エンジン重量や搭載位置、サブフレームの違いなどが影響しているのだろう。加えてサスペンションアームの形状も異なっており、キャラクターは明確に分かれている。
それでも共通しているのは、低速域から感じられる「操る楽しさ」だ。交差点をひとつ曲がるだけでも、ステアリングと車体が一体となって動く感覚が伝わってくる。ミッドシップならではのトラクション、ブレーキング時の安定性、速度に関係なくその本質はしっかり味わえる。

充実した装備類に加えて社内の静粛性も大幅に向上し、日常での使い勝手が飛躍的に高くなった。

そして何より驚かされるのは快適性だ。エリーゼを知る身としては、その静粛性と乗り心地はまさに別世界。ロータスは確実に次のステージへと進んでいる。
もし自分が選ぶとすれば、日常で積極的に使うなら直4、週末の趣味性を重視するならV6のマニュアル。足まわりはどちらもツアーがバランスに優れていて好み。なお2026年モデルでは価格改定が予定されており、現行価格で購入できるのは国内在庫のみとなる。気になる方は、早めの決断が賢明だ。

ロータスらしい切れ味鋭いハンドリングに、実用性も兼ね備えた万能スポーツカーといえるだろう。

Text:佐藤考洋 (ティーポ編集部) 
ロータス・カーズhttps://www.lotuscars.com/ja-JP/emira