見応えあるぞ! モビショー2025

見応えあるぞ! モビショー2025

Japan Mobility Show 2025

10月31日(金)〜11月9日(日)まで開催される「ジャパン・モビリティ・ショー2025」(JMS2025)。会場となる東京ビッグサイトには一般公開日初日から多くの来場者が訪れたようだ。前回(2023年開催)を上回る500以上の会社と団体が出展(内海外からは42社・団体)。いろいろと見どころの多いJMS2025だが、ここではティーポ編集部の独断と偏見で選んだ気になるクルマを紹介しよう。

日本の心「センチュリー」が、ついにトヨタの最上級プレミアムブランドとして独立した。1957年の誕生以来、半世紀以上にわたり“日本の最高峰”として君臨してきたセンチュリー。その新章を象徴するのが、参考出品されたクロスオーバーテイストを纏うクーペだ。堂々たる佇まいは一目でセンチュリーとわかる品格に満ちている。世界の名だたるプレミアムブランドに比肩する存在へ──新生センチュリーの未来に期待が高まる。

マツダは2台のコンセプトカーと新型CX-5が今回のハイライトだ。ティーポが注目したのは「VISION X-COMPACT」で、そのスタイルは欧州スモールハッチバックを思わせる。もう一台の「VISION X-COUPE」と共に、マツダの魂動デザインの次なるステップを表現しているという。デザインはさらなる引き算の美学を追求したもので、両車共に一切の無駄がない中にもマツダらしい存在感が織り込まれている。リアコンビネーションランプに至っては、ボディ一体型という斬新な手法。次期マツダ2を期待させるものだが、果たしてどうなるか!?

前回のJMSで話題をさらったMAZDA ICONIC SPの進化系が見られるかと思いきや、今回はクロス・クーペのコンセプトモデルを出展。こちらもロータリーエンジン+モーターを搭載することを前提としている。ハイブリッド・ロータリーエンジンの進捗が気になるところ。

先日、生産終了が発表されたコペン。しかし早くも、次期モデルを想起させるコンセプトカー「K-OPEN」が登場した。ネーミングはそのまま“コペン=Kオープン”だが、最大のトピックは駆動方式がFFからFRへと刷新された点だ。会場には開発車両も並び、水平マウントされたエンジンなど低重心化への徹底したこだわりが伺える。フロントタイヤからドアラインまでの伸びやかなプロポーションもFRらしさを強調。1991年の幻のコンセプト「X-021」の二の舞にはならないことを願いたい。

LEXUSU SPORT CONCEPT

トヨタグループのフラッグシップがセンチュリーとなるため、レクサスはブランド定義を再構築した。ブランドメッセージを「DISCOVER」とし、従来の「ラグジュアリー=高級サルーン」ではなく、「ライフスタイル/体験を最高級にするブランド」へ変わる。スポーツクーペはおそらくGRブランドでも展開されるものと共有するものと思われるが、レクサスらしいラグジュアリーさを持たせているのが特徴だ。

レクサスのフラッグシップ、LSがセダンからまさかのミニバンへ――時代の流れを象徴する変貌だ。永田町を走るクルマの多くが、いまやアルファードやヴェルファイアなどLサイズミニバンばかり。そんな現実を踏まえたかのように、レクサスはLXとは異なる“ショーファードリブン”の頂点を狙い、リアを小径4輪とする斬新なパッケージを提示した。リアサスのストロークは大丈夫かとつい心配になるが、このままのスタイルで市販されることを願いたい。詳細は明かされず、タイヤサイズすら不明(おそらく16〜17インチ)だが、まずはスポーツモデルから順次市販化されるはず。

スバルに“らしさ”が戻ってきた。そんな印象を強く受ける元気なラインナップの中でも、ひときわ注目を集めたのが「パフォーマンスBコンセプト」だ。インプレッサをベースに、ボクサーターボ+6速M/Tという潔い組み合わせ。左右に大きく張り出したフェンダー、巨大なリアウイング――まるで往年のラリーマシンを思わせる姿に胸が躍る。若手エンジニア主導で企画されたというが、EV全盛の今こそ、こうした“クルマ好きの血を騒がせる”提案こそスバルの真骨頂だ。このまま市販化されることを願わずにはいられない。

SUBARU Performance-E STI concept

今回のJMSでスバルは、「パフォーマンス」「アドベンチャー」「スバルDNA」という3カテゴリーに分けて世界観を提示した。その中で“パフォーマンス”を担うのが、次世代BEVを象徴するコンセプトモデルだ。ツーリングワゴンスタイルという選択こそ、スバルらしさの象徴といえる。EV化しても“人中心のパッケージング”と“低重心思想”は健在。モーターとバッテリー構成でも、水平対向エンジン以上の低重心を実現しているという。新サスペンションや造形などに近未来の要素を織り込みつつ、賛否両論だった多角形フェンダーアーチは、次世代では採用しない方向のようだ。

HONDA Micro EV

ホンダは陸海空とあらゆるモビリティを出展。先日実験に成功したサスティナブルロケットが展示されたことにも驚いたが、ホンダらしい生活を豊かにしてくれるモビリティが揃っていて好感が持てる。クルマのメインは2027年から順次市販化される「ホンダ0シリーズ」なのだろうが、編集部はマイクロBEVの「マイクロEV」に注目。国内のマイクロEVの多くはデザインを度外視したものばかりだった。しかし、このホンダのは往年のバモスやZを彷彿とさせるデザインテイストを盛り込んできた。これなら乗ってみたいと思わせるではないか。

Super‑ONE Prototypeは、先日発表された軽EV N‑ONE e:をベースに、左右に大型フェンダーを配したスポーツグレードだ。スポーツらしさを体現する「BOOSTモード」も装備し、日常を“駆け抜ける歓び”へと変えるBEVモデルとして仕上がっている。さらに、2027年からのリリースが予定される新シリーズ Honda 0 Series。そのミッドサイズ版となる Honda 0 SUV がワールドプレミアされた。EV専用プラットフォームを新開発し、デザインもシンプルにまとめられており、“ホンダらしさ”が詰め込まれた2台と言える。

NISSAN ELGRAND

16年ぶりに刷新された新型エルグランド。かつてLクラスミニバンの代名詞だった存在が、再び王座奪還を狙う。威風堂々としたスタイルは、一目でエルグランドとわかる迫力だ。デザインコンセプトは「The private MAGLEV(リニアモーターカー)」――非日常の旅への高揚感を形にしたという。インテリアは上質素材と先進装備で“プレミアムクラス”にふさわしい空間に仕上げられた。パワートレインには第3世代e-POWERを採用。発電専用に設計された高効率エンジンと電動4輪制御「e-4ORCE」がもたらす走りは、これまでのミニバン像を一新するものとなりそうだ。日産はいわゆるコンセプトカー的な出展はなく、どれも間もなく市販が予定されているモデルのみの展示となった。

MITSUBISHI ELEVANCE Concept

三菱はブレることなく“SUV道”を突き進む。MITSUBISHI ELEVANCE Conceptは、次期パジェロと噂される注目モデルだ。卓越した走破性を備えつつ、ラグジュアリーなテイストも融合。パワートレインはカーボンニュートラル燃料対応のPHEVと、クアッドモーター式4WD「S-AWC」の組み合わせだ。惜しまれつつ2019年に姿を消したパジェロだが、復活を待ち望む声は今も多い。三菱の次なる一手に期待するとともに、“エボリューション”の名が再び蘇る日を願いたい。