謹賀新年 【ガレージライフ】和のテイストを取り入れた、 ドイツ車との融合した別棟ガレージ
母屋の隣に建築したガレージ。 20 年以上も前に、「土地がいらなくなったら買います」との約束を覚えていたことがきっかけで譲り受けた。 そこで念願だったガレージの建築がスタート。 大工さんが建てた和のガレージを紹介したい。
和と洋が融合したガレージ。
建築美が感じられる作品。
日本海側の地方都市に住むIさんは、『V.W.O.C.N』の代表を勤め、イベントにご家族で参加するため面識ある間柄。今回はガレージを建築したため、クルマではなくガレージの取材に日本海側まで伺った。普段、イベントでお会いするときはヴィンテージのコンディションが抜群のフォルクスワーゲン・ビートルで参加が多いためガレージの前に到着したときは、予期してなかった佇まいに驚かされた。

I さんが建てたガレージは伝統的な日本建築の2階建てのガレージ。母屋を建てた大工さん『山田材木』さんに“お任せ”という注文でガレージの設計、建築を依頼したという。I さんいわく「やはりプロの仕事のことだから、お任せしたほうがいいガレージが建つだろう」と考えて土地のサイズに合わせて、ガレージの大きさ、高さを打ち合わせしただけで、ほぼ進行したというからまた驚きだ。きっと母屋を24 年前に建てていた面識にある大工さんだけに、どのようなテイストになるか分かったうえでのオーダーといえる。さすがにクルマを並列で3台(最大6台)入る空間に、2階にはコレクションルームということは伝えたそうだ。


左/吹き抜けになっているため2階からクルマを見下ろすことが可能なガレージ。居住空間もあり過ごしやすいに違いない。プライバシーもロールカーテンにより守られている。クルマはヴィンテージなVW2 台と10年かけて大半のレストア作業を家族とV.W.O.C.N メンバー協力のもと仕上げた1970年式 ポルシェ911T。 右/2階に設置された0.5t まで耐えられるチェーンブロックを設置。オートバイも2階に引き上げることができる装置。
ガレージの2階には重量のあるクルマのパーツや書籍を2階に運ぶことを考えてホイストクレーンが設置されるなど、個人のガレージとは思えないほどの装備となっている。それもそのはず、コレクションしているホイールは多数あり、ストックのVW パーツは今では手に入らないN.O.S パーツなど専門ショップよりも膨大な量がある。この数を見たら、今までどのようにストックしていたかが気になる。



左/2階に入ると、クルマのパーツのほか、たくさんの書物があることが分かる。2階にもソファを設置して、寛げる空間を用意している。 中/雑誌はカテゴリーごとに分かれ、I さんが好きなVW、ポルシェ、クルマ、オートバイ、モデルガン、時計、ファッションと図書館のように年代別に保管される。 右/ガレージの支柱、梁を見ても分かるが釘、ネジを使わずに職人の継手、仕口工法でくみ上げられた強固なガレージということが分かるだろう。
ガレージを建てた最大の理由は、自宅の横の60 坪の土地を譲ってもらえることになったこと。ガレージを建築するまでは自宅から10 分ほど離れた会社にパーツ、クルマ、バイクを保管していたが、パーツがどのくらい所有しているのか? ホイールが何本あるか正確には分からずだったため整理したいという願望もあったそうだ。



左/2階のヴィンテージパーツのストックヤード。個人のガレージではまずみない光景。まるでヴィンテージショップに来たような錯覚を覚えてしまうほどのストック。 右/ 空冷VWフリークにはお宝な、当時のフォルクスワーゲン社の箱に入ったパーツ。欲しくても手に入らないものばかりだ。
昔ながらの大工さんに依頼したため3D のデーターなどは使わず、平面図を眺めながらサイズを決めて工事はスタート。職人さんがなかなか手配がつかず約2年かけてガレージの引き渡しとなった。それから、会社から荷物を運搬したり、またホイールを保管するための棚を決めたりと3カ月が経過。奥様と息子さんと荷物を運んで、現在の姿になった。荷物を運搬しているときは大変であったが、どんどんガレージに収納される姿は自分の考えていた隠れ家ができるみたいで楽しかったと語る。ホイールを収めた棚は、いろいろサイズを計算してIKEA で購入したもの。1階に収めたアメリカ製の収納棚は1年前から計画し、アメリカから輸入したものだという。


左/1階のガレージにストックされたパーツたち。 ショーケースはイギリスなどから輸入してもっていたものに灰皿、花瓶、ラジオといったヴィンテージパーツが並ぶ。 右 /オークションで落札した60年代にフォルクスワーゲン社が 販促で製作したカレンダー。マニアしか持ち合わせていないものばかりがガレージに眠る。


左/2階の上部の空間には年代ごとのVWのパーセルシェルフをディスプレイ。VW専門ショップでも揃えるのは難儀である。 右/こちらも壁面を使ってホイールリングのストック。こんな数は使わないのを理解していてもストックが欲しくて購入している。
「すぐに建築して引き渡しではなかったので、自分で完成を想像してガレージにディスプレイするアイテムや収納庫を探したりできたのもよかった」とガレージの建築時のことを思い出す。自宅横だったため、毎日仕事から帰るとチェックして思いを馳せているのは楽しかったようだ。なんと壁面には調湿効果の高い珪藻土の壁面にして、窓を開ければ自然な風が入るので過ごしやすいようになっている。2階の棚に収めたオートバイ雑誌は、Iさんが高校生時代、つまり40 年以上も前から収集し続けたもの。雑誌を読んで青春時代を過ごしてきたため、断捨離などは言語同断なのである。好きなモノ、クルマに囲まれたガレージができてよかったと語るIさん。オートバイに乗るようになった愛息子と、ガレージでクルマ、バイクを語る日を夢見ている。


左/ガレージと母屋の間に設けられた、ちょっとした屋根付きの休憩スペース。風が気持ちい季節はこのスペースで寛ぐ時間が多いそうだ。 右/母屋の横に建築した杉板が美しい木造ガレージ。ガレージのなかはヨーロッパ生まれのクルマという和と洋が融合したガレージだ。
PLANNING DATA
所在地●日本海側の地方都市
家族●3人家族
竣工●2025 年3月
敷地面積●約60 坪
ガレージ面積●約81㎡
構造●木造2階建て
外装仕上げ●杉板
内装仕上げ●珪藻土
愛車●1957 年式タイプ1
1966 年式タイプ1
1970 年式ポルシェ911T
OWNER'S CHECK
■一番気にいっているところは?
高温多湿な日本の気候を考え、クルマ、パーツを守るために調湿効果の高い珪藻土を壁面に採用し、素材を活かした日本建築が気に入っています。
■ちょっと失敗したところは?
特にありません
■次の夢はなんですか?
車両をはじめ、ガレージの経年変化をゆっくり楽しんでいきたいですね。
Photo/Masatake-ISHIKO