【ガレージライフ】人生最後のクルマとして選んだ空冷VW その愛機を末永く楽しむためのガレージ。

ジョージ・ルーカスの名作アメリカングラフィティでもみられるホットロッドカルチャーに憧れを抱いてきた施主が、人生最後のクルマとして選んだ空冷ビートル。カーポートやボディカバーでは雨風をちゃんと防ぐことができず、ヨドコウの『ラヴィージュⅢ』を設けた。

【ガレージライフ】人生最後のクルマとして選んだ空冷VW その愛機を末永く楽しむためのガレージ。
バナーや額装したポスター、パーツなどが壁一面に装飾されており、賑やかな雰囲気を楽しめるガレージ。 電気も引き込まれている。

アドルフ・ヒトラーによる“1000マルク以下で購入でき高速走行が可能な4 人乗りの乗用車”などという命を受けた、かのフェルディナンド・ポルシェ博士が開発した最初のフォルクスワーゲン・タイプ1が登場したのは今から90 年近くも前の1938 年のこと。
大戦後には欧米をはじめ世界各国で走るようになり、その姿形からビートルという愛称で呼ばれ、地球規模で愛される大衆車となった。
中でも60 〜70 年代に流行したアメリカ西海岸のカーカルチャーであるCal-Look のベースモデルとして高い人気を誇り、その流れは令和になった今でも息づいている。 そんなタイプ1 に惚れ込んだIさんのガレージを拝見していこう。

ガレージが建つのは千葉県木更津市。東京湾アクアラインの利便性の高さから昨今では移り住む人も多いが、Iさんは生まれ育った生家に住み、その前にガレージを設けた。Iさんのガレージはヨドコウの『ラヴィージュⅢ』にオプションのオープンスペース(カーポート)を追加した仕様で建てられており、外見上はわりとシンプルなものなのだが、電動シャッターが開くと、そこは様々なアイデアを用いてガレージライフを楽しんでいることがすぐさま伝わってくる空間が広がっていた。

ガレージ内で過ごす時間を楽しめるよう、ガレージ奥のスぺースはラックや作業台が 置かれている。揃えられたアイテムもセンスが良い。

ガレージで最初に気が付くのは樹脂タイルが敷き詰められたフロアで、アメリカのVW 専門誌のイメージカラーで揃えられている。その次は壁面に数多く張られたバナーやポスターだ。スチールガレージの場合、壁面を装飾するには木材をベースに用いることが多いのだが、Iさんは強力なマグネットを用いてディスプレイされている。ガレージの奥に足を踏み入れると、Iさんが製作されたモデルカーのジオラマが収まるラックや作業台なども置かれており、ガレージで過ごす時間を楽しめるようになっていることが伝わってくる。

「昔からアメリカのカーカルチャーが好きで、雑誌や雑貨を収集してきました。今から3 年程前に、人生最後のクルマを選ぶとしたら何が良いだろうと考えた時、現実的に維持することができるのは空冷ビートルだと思い、空冷フォルクスワーゲンの名門であるFlat4 に伺い、このビートルに一目惚れをしてすぐさま購入したのです」とIさんは話してくれた。
当時カーポートはあったものの基本的にそこには普段仕事で使うクルマが止められており、空冷ビートルはカースペースの奥の庭部分にボディカバーをかけて置かれていた。

右手がIさんの家で、オープンスペース(カーポート)も追加したことから、雨が降ってもほぼ濡れずに家とガレージを行き来することができる。

しかし非常に強い台風により近所の家の屋根瓦が飛ばされるなど近年の異常気象による問題も感じており、そのような中、実際にIさんのビートルもひょう害に見舞われてしまった。
「クルマを買って1 年くらいはボディカバーで保管していたのですが、ひょう害に遭った時にはもうこれは駄目だと感じ、とにかく雨風をしのぐことができるガレージを建てることにしたのです。

自分の手で何かを作ったりいじることが好きなので、ガレージ内の装飾や、ひょう害部分のデントリペアなどもDIYで行いました」とIさん。
ガレージの周辺を見てみると、元々ブロックがあった部分や、ガレージに追加されたオープンスペースの屋根があたるべランダルーフの端などにカットされた跡があり、ガレージの設置も試行錯誤があったことが分かる。

「クルマもガレージも家族の理解があることが一番大切だと感じています」とIさんは笑いながら話してくれたが、それこそがガレージライフを楽しむ上での核心なのだと思う。

PLANNING DATA
所在地●千葉県木更津市
竣工年●2023 年
ガレージ面積●約16.5m²
構造●スチールガレージ
外壁仕上げ●スチール
内装仕上げ●構造表し
愛車●2001年式 VW・タイプ1

OWNER'S CHECK
■一番気にいっているところは?
何といってもガレージ保管とすることによ
り、雨風を気にしなくて良いところ。
■ちょっと失敗したところは?
特になし。
■次の夢はなんですか?
ガレージ内の全面に雑誌をディスプレイし、ブックガレージとすること!
■読者へのアドバイスを!
夢は必ず実現するものです。憧れを持ち続けて!!

Photo&Text /Dan-KOMATSU