【ガレージライフ】ガレージ 今昔物語 15 年前に取材したガレージを再び訪問する
GarageLife でこれまで紹介してきたガレージ数は1000 件をゆうに超えるものとなっている。 その中でもインパクトが強く我々制作陣の 脳裏に焼き付いている物件もいくつかあり、 その中の一つが、43 号の表紙にもなった スターバックスをそのまま取り入れたガレージだ。15 年の時を経て今回再び訪問する。
Iさんのガレージを紹介したのはGarageLife43号で、それは今から15 年前のこととなる。
“十年一昔”とは良く言ったものだが、時の流れと言うのは残酷なほど早く感じられ、個人的には15 年前のことは最近のように思えてしまうのだが、一方で世の中を見渡してみると、スマートフォンは爆発的に普及しYouTube がメディアのあり方を大きく変え、新型コロナウイルス流行に端を発しリモートワークが一般的になり、キャッシュレス化やAI テクノロジーの進化など、生活を取り巻く事柄は結構変化があることが分かる。
そのような中、再びIさんのガレージへと伺うことにしたのは、掲載号の表紙とするほどインパクトが強かったからだ。


ビルの地下に設けられた広大なガレージにはクルマの出し入れを考慮したターンテーブルが設置されているほか、何といってもスターバックスの店舗スタイルをそのままガレージに取り入れているのだ! そんな物件がその後どのようになったのか気になるのは当然のこと。それでは15 年の時が流れた今現在のガレージの様子を拝見していこう。



左/LA留学時代に毎日のように通ってホームワーク(宿題)をやっていたことから取り入れたスターバックス。本物の看板だ。 中/複数台所有する者にとってバッテリー管理はとても重要なポイント。「コンセントは色々な場所にあると便利」と飯島さんは話してくれた。 右/容易にクルマの出し入れを行うために設置したターンテーブルだが、ガレージのクルマが増えて現在は使用していない。
取材当日現地に到着し、Iさんにガレージへと案内してもらうと、まず以前GarageLife で取り上げた際の印象と少々異なる雰囲気が伝わってきた。それは格納台数が増えているということが大きい。
ガレージ内の撮影時には表に出していただいたので写真には写っていないが、まずレクサス・RX が一番手前に置かれ、その横にはつい最近入庫したばかりで名義変更もまだだというNA 型ロードスターと、NA6CEを探している際に安かったのでつい買ってしまったというNB 型ロードスターが並んで置かれていた。
その奥は例の”スタバステージ”なのだが、シェルビー・コブラレプリカ、ポルシェ・911、ダットサン・SPL311、メルセデスベンツ・G400D がほぼ隙間なく止められている。
そのような中、以前はあったフェラーリが無いことが気になった。
「ガレージが完成した2010 年当時は外車やスーパーカーに興味があり、フェラーリも4 台乗り継いだのですが、歳を重ねるにつれて徐々に国産旧車へと興味がシフトしていきました。やはり免許を取得した頃に憧れを抱いていたクルマに乗りたいと思い始めたのです」とIさんは話してくれた。

国産旧車の中でもフェアレディZ(S30)には思い入れがあり、3 年ほど前に1 度手に入れた個体があり、それは錆のある箇所を見つけて手放してしまったが、やはり欲求は抑えることができず2 台目を購入し現在レストア中だということである。
クルマが増えたことでスタバはすっかり埋もれてしまっている。
「当時はスターバックスのあるガレージということで、テレビ番組や雑誌など様々なメディアに取り上げてもらいました。


左/1967年式のダットサン フェアレディSPL311が置かれる。旧車は手がかかる場合もあるが、今のクルマには無い魅力がある。 右/スイスのフレームビルダーであるフリッツ・エグリにより作られたEgli HONDA。その奥には前回の取材時から変わらずスバル・360デラックスが置かれる。
竣工してから4、5 年の間はスーパーカーオーナーの友人らなども良く遊びに来ていたのですが、それぞれ生活スタイルも変化していき、集まらなくなりました。
一方でご覧のようにクルマは増えてしまったとう状況です」とIさんは笑いながら話してくれた。
一つ惜しいのはせっかく出し入れを便利にするために設置されているターンテーブルの上にまでクルマが置かれているために、ターンテーブルを使用することができないということなのだが、それにしても自分の好きなクルマやバイクをこれだけコレクションできるガレージの広さは正直羨ましい限りであり、このガレージがあることは恵まれているとご自身でも思われている。



左/壁面にはフェラーリを所有していた頃の名残でフラッグが飾られている。ツールキャビネットなども用意されており、大まかな整備は行えるようになっている。 右/フリスビーやモデルカーなどのアメリカン雑貨コレクションは以前の取材時から変わりなく、特に増やしている感じでもないということ。
年内には仕上がってくるであろうS30が収まればガレージのクルマはほぼコンプリートされる。ただしコブラレプリカの登録をすることやスバル360 のレストアなど進める作業は多く、まだまだガレージライフは続きそうである。


左/以前からガレージの仲間として存在しているノートンの奥には卓球台が見える。昔お子さんが卓球をしたいと用意したもので、それだけのスペースがあることが羨ましい。 右/ガレージの裏手はIさんのオフィスがあり、直接行き来することができる。しばしばクルマ好きの取引先などにガレージを見せるとか。



左/スケルトンパネルによりガレージ内が見えるシャッターをメインのガレージドアとしている。人の通用ドアもあれば良かったということ。 中/ガレージドアの前方にグリルシャッターも備え、セキュリティを2重としている。 右 /ガレージはビルの地下に位置しており、 ガレージに雨が浸入しないように排水溝は設けられ、そこに落ち葉などが入りこまないよう工夫がされている。
P L A N N I N G D ATA
所在地_ 神奈川県横浜市
竣工年_2010 年
敷地面積_690.29㎡
ガレージ面積_189.1m²
構造_RC 造
愛車_1967 年式 ダットサン・SPL311、
2023 年式 メルセデスベンツ・G400D、
1992 年式 ポルシェ・911、
1968 年式 スバル360デラックスなど
OW N E R ' S C H E C K
■一番気にいっているところは?
何といっても広々としたスペース。これだけの台数
を収容できるのは贅沢であり、恵まれています。
■ちょっと失敗したところは?
ターンテーブル。使えると便利なのですが……。
■次の夢はなんですか?
コブラの検査を通しナンバーを取得すること。
■読者へのアドバイスを!
自分のやりたいことやイメージするスタイルを、できるだけ詳しくガレージの設計者へと伝えると良いと思います。
Photo&Text/Dan-KOMATSU