【ガレージライフ】ビンテージカーを 手に入れたことで、クルマを ガレージ保管することを決意。
かつてZ でドラッグレースで名を轟かせたIさん。 プライベーターでありながら ショップのデモカーのタイムを抜き去り 雑誌で紹介されたのは38 年前のことになる。 現在はストリートカーを 安全運転することを楽しんでいる。
限られたスペースを有効活用。
自分で作業ができる夢の空間。
1986 年5月に発売された雑誌「CAR BOY」にて紙面を飾ったことがあるIさん。プライベートレーサーとして、チューニングエンジンを搭載したフェアレディZ で、0-400m のタイムは11 秒365をマークしたドライバーが今回のガレージを建築したIさん。シマダドラッグZ と呼ばれ、車重860kg のボディにノーマルの2.8リッターエンジンをベースにオリジナルピストンが入った現『SHIMADA RACING』が組んだマシンでタイムをたたき出していた過去がある。
その後も、フェアレディZ やR35などをチューンして楽しんでいたが、現在所有している条件のいい1970 年式フェアレディZ S30を手にいれたことで気持ちに変化が生まれる。シャッターのない農機具とともに納屋で保管していたが、クルマのパーツをばらしたときに作業を1日で終えないといけないストレスや、クルマが小動物により悪戯されてしまうことからガレージを建築しようと考えたのは令和3年のことだった。

約300 坪の敷地には、現在のIさん夫妻の2 階建ての住まいと、ご両親が住んでいた母屋、そして納屋が建っていたため大きなスペースの確保が難しいことから納屋の半分を壊してリノベーションをすることがコスト的にも優れていたので、約5m ×7m サイズのガレージを模索。メーカーが発売しているユニットガレージと地元の『野中建設』さんを比較したが、建築できるサイズが決まっていたため土地を有効に使うことを考えて注文することになった。なぜならオーダーすることで将来、リフトを導入したい希望もある天井高が最大4m、そしてリノベーションのほうがメリットが大きかった。
約9か月かけて建設された鉄骨造のガレージは、クルマが2 台入れられるほか前後にジャッキが入るスペースや、パーツのストックやケミカルなどが保管できる棚を3か所設置。あらかじめエアーツールを使うことも考慮して、200V のエアコンプレッサーはガレージの奥に配置してパイプをガレージに巡らせて使いやすいように設計されている。壁面にはストックのオリジナルパーツや北米仕様のパーツからオリジナルマフラーなど保管スペース兼、展示ができるようにIさんが考えていた。またシャッターを開閉しなくてもガレージに出入りできるドアもオーダーしている。


左/オーダーにより依頼したのは2か所のドア。 シャッターを開閉しなくて も出入りできるは最大のメリットである。右下にはオリジナルエンジンが保 管されていた。 右/ガレージの天井に設置されたライトは作業がしやすいようにLEDの照明が用意された。断熱に対しても対応済み。
「本当は3 台クルマが入る大きなガレージがよかったですが、コストのことなども配慮して2 台入る納屋のスペースを一部残したガレージにしました」とはIさん。ガレージにはボディ、インテリアとオリジナルに近い初期のオリジナルS30 に見えるが、エンジンは『SHIMADA RACING』が組んだノーマル2.8L エンジンはポート研磨が施され、バイクのピストンが組まれたチューンドエンジンを搭載したS30が保管される。LSDまで組まれたデフを搭載したクルマはストリート仕様とはいうが、いつでもこのクルマでレースに参加も可能というスペシャル仕様である。

ガレージが完成したことで、仕事がオフのときにはパーツをばらしてパーツを磨いたり、キャブレターの調整をしたりして日が暮れても、このまま作業が持ち越せるのが最高という。夏でも冬でもクルマにとっても最高の環境が整ったというIさん。最近ではこのマシンで自走して、富士スピードウェイで開催されたZミーティングに参加するなど趣味を満喫している。


左 /ホイールやオリジナルパーツも、棚の上にストック。無造作にボックスが積んでいるように見えてもIさんは、すべて中身を把握している。 右/ガレージで気軽に作業できるようにSnap-on製のスツールボックスが愛用されていた。移動が可能なためクルマの横にも移動ができる。


左/ガレージの壁面は、木製のパネルを施工することでフラッグやサインをディスプレイできるように工夫。テープやフックを使ってディスプレイできるようにしている。 右/あらかじめガレージの上部にはパーツがストックできるスペースとして棚が用意された。重量を計算して、鉄骨を使って造作している。
日産車を中心に乗り継いできたIさん。S30を手に入れたことで、ガレージを建設。将来はガレージに2 柱リフトを導入して、クルマの下まわりも磨きたいと考えている。ドラッグレースにかつての盛り込んだことがありながらも、ストリートマシン最速を目指し日々クルマを楽しんでいるIさんである。




左/ガレージのなかでエアツールや電動工具が使えるように配管とコードリールが用意される。なるべく床に置くことなくス ペースが確保できるように配慮された。 中/オリジナルのモトコンポのホワイトが現存するのは希少。 Iさんのコレクションとしてガレージに大事に保管される。 右/ガレージの床面はモルタルにより仕上げている。まめに掃除をすることでホコリからクルマを守っている。
PLANNING DATA
所在地●埼玉県
施工●2022 年2月
構造●鉄骨造
延床面積●不明
愛車●1970 年式フェアレディZ S30
ホンダ・モトコンポ
OWNER'S CHECK
■一番気にいっているところは?
975kg のボディに3096cc のエンジンを搭載したマシンを再び所有でき
ているところ。
■ちょっと失敗したところは?
クルマ3 台が余裕でガレージに入れられるような横幅がほしかった。
■次の夢はなんですか?
二柱リフトを導入して、クルマの整備が楽にできるようにしたいですね。
■読者へのアドバイスを!
ガレージがあれば自分で修理し、作業途中でも終了できるので最高のスペースです。夢をあきらめないで自分の居場所を確保してください。
Photo/Takenao-HAYASH