【東京→岡山・長距離試乗】フィアット600ハイブリッドで600Kmを走る!【前編】

【東京→岡山・長距離試乗】フィアット600ハイブリッドで600Kmを走る!【前編】
FIAT 600 Hybrid La Prima
BIG SMILEをコンセプトにした柔和な表情のフロントマスク(ボディカラー:SUNSET ORANGE)。

昨年9月に日本に導入されたフィアット600e(セイチェント・イー)。日本での発表会には、フィアット・ブランドのチーフデザイナーであるフランソワ・ルボワンヌ氏が来日した。彼が語ったのは「BIG SMILE」というデザインコンセプト。まるでキャラクターの顔を描くようにフロントフェイスを造形し、街で出会った瞬間に思わず笑顔になれる存在を目指したという。確かに、ヘッドライトやグリルの造形には柔らかさと親しみやすさがあり、愛嬌を感じさせる。ボディ全体に対するボンネットの比率やリアハッチの傾斜は、初代セイチェントのDNAをしっかりと受け継いでおり、フィアットが長年培ってきた「誰もが笑顔になる愛嬌あるデザインと、優れた実用性の両立」という哲学が反映されているように思う。

エッジの効いたデザインが多いSUVの中で、丸みを帯びたフィアットらしい親しみ溢れるフォルムで、京都の街並みにも違和感なく溶け込む(ボディカラー:SKY BLUE)。

フィアットといえば500(チンクエチェント)やパンダといった小型車でよく知られるが、600(セイチェント)は500とコンパクトSUVの500Xとの間に位置するモデル。クロスオーバーが主流となる今の市場にあっても、フィアットはあくまで「日常を楽しく彩る道具」としてのキャラクターを忘れていない。流行のクロスオーバーとは一線を画す、親しみやすいフォルムと色気をまとったデザインは、街に溶け込みながらも確かな存在感を放つ。用意されるポップなカラーバリエーションは、どれを選んでもオーナーの個性を引き立ててくれる。今回、東京-岡山のロングツーリング試乗に連れ出したスカイブルーの車体も、古都・京都の街並みにしっくりと馴染み、観光客の目を引いていた。

全幅は1780mmと、日本の道路環境にフィットするサイズ。都心の狭い裏道でもストレスが少なく、取り回しやすさは小型車づくりに長けたフィアットならではの美点だ。日常の足としてはもちろん、休日の遠出にも気兼ねなく連れ出せる。

そして今年5月、待望のハイブリッド仕様が追加された。1.2リッター直3ターボに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせ、トランスミッションはモーターを組み込んだ6速デュアルクラッチ式(DCT)を採用。最高出力/最大トルクはシステム合計で145ps/23.5kg-mを発生し、電動モーターだけで約30km/hまで加速可能というスペックを持つ。モーターによるアシストは単なる補助にとどまらず、出足から滑らかな走りをもたらし、街乗りも好印象だ。

東京都内をスタートして首都高から東名高速道路で西へ。高速クルージングばかりになってしまうので、京都への立ち寄りと経由地・播州赤穂から岡山国際サーキットまでは一般道を走行。

今回、この600ハイブリッドを駆ってティーポ誌主催のサーキットイベント「SPEED FESTIVAL 2025」が開催される岡山国際サーキットまで、600kmを超える道のりを走破することにした。ピュアEVの600eでも最大航続距離は439kmなので、道中に一回の充電で届く計算だが、長距離移動での安心感や新しいパワーユニットの実力を確かめるため、あえて新着の600ハイブリッドを選択。ルートは高速道路を主体としつつ、一般道も走りたいので、前述の通り途中で京都に立ち寄ることにした。【後編に続く】

【FIAT 600 Hybrid La prima】
全長×全幅×全高 : 4200×1780×1595mm
ホイールベース : 2560mm
トレッド(F/R) : 1535/1525mm
車両重量 : 1330kg
エンジン形式 : 直列3気筒DOHCターボ
総排気量 : 1199cc
最高出力 : 136ps/5500r.p.m.
最大トルク : 23.5kg-m/1750r.p.m.
モーター最高出力 : 21.8ps/4264r.p.m.
モーター最大トルク : 5.2kg-m/750-2499r.p.m.
トランスミッション : 6速DCT
サスペンション(F/R) : ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R) : ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R) : 215/55R18
価格 : 419万円
**問合せ先:ステランティスジャパン ℡0120-404-053 **